資源の宝庫・日本、知恵を使えばコストは下がる

「びっくりドンキー」のアレフが描く外食産業の未来(2)

2014.04.08(火) 川嶋 諭
    http://goo.gl/p9nGcC
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 小学生の段階から環境意識を植え付けようという狙いである。そして使った後の油はバイオディーゼル燃料(BDF)として再生、地域の配送用のトラックや保育園・幼稚園の送迎バスの燃料として身近なところで使う。

 将を射んと欲すればまず馬を射よ、の教えではないが、遠回りのように見えて最も近道の戦略と言えるかもしれない。こうした活動が少しずつ広まれば、コストも少しずつ下がり、企業にとっては長期的に計算できる事業となり得る。

ビール工場から出たごみも再利用

 このほか、生ごみを発酵させてバイオガスを作るプラントには、アレフが別に経営している小樽のビール工場のごみ(搾りかす)も使っている。ビール工場から出る搾りかすは、それだけで処理しようとすると、水分と固形分に分ける必要があり、再処理にエネルギーが必要になってしまう。

 また、水分と固形分で別々の輸送も必要になり輸送コストもかかる。そうした計算を細かく行うと、バイオガスプラントで一括して処理した方がコストが大幅に安くなった。

採草地での牧草の育ち方の違い。液肥を使った右の牧草の方がよく育っているのが分かる(アレフ提供)

 バイオガスプラントではメタンガスを発生させたあと、液体の残りかすが出るが、これは液体肥料として使うことができる。アレフでは牧場も経営しており、冬季に家畜の餌となる採草地の肥料として再利用されている。

 写真を見ると、その液体肥料を使った場合と使わなかった場合の牧草の生育度合いが一目で分かる。使えるものはできるだけコストをかけずに再利用し切るという同社の考えがここにも表れている。

 ハンバーグレストラン、びっくりドンキーでは、木の器にハンバーグとごはん、サラダを持った「ハンバーグプレート」と呼ばれるメニューが全体の約8割を占める。ハンバーグと言えばお決まりの熱い鉄板の上に載せて出すという“常識”にはとらわれず、食べやすさを優先したところ、それが消費者に受けた格好である。

 ここで使われている木の器は、北海道下川町産の間伐材が使われている。間伐材を使うことで、森の生育にも貢献し環境負荷を少なくすることができる。

 さらに、木の器は使い込んだらすぐに捨てるのではなく、表面を研削して再利用している。プラスチックや瀬戸物に比べて半永久的に再利用できるという特徴がある。

 日本人はおそらく小中学校の教育で洗脳されてしまっているためだろう。エネルギーは外から買ってくるものだという常識が固定化してしまっている。しかし、日本には豊かな資源がある。森林もそうだし、ほとんど使われていない世界有数の地熱資源もある。

 アレフの取り組みを見ていると、私たちはまだまだ知恵を使っていないのではないかと思えてくる。行政に頼るのではなく、私たち一人ひとりが考え方を改め、内なるエネルギー革命を起こす時代が来たと言えるのではないだろうか。

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早稲田大学理工学部卒、同大学院修了。日経マグロウヒル社(現日経BP社)入社。1988年に「日経ビジネス」に異動後20年間在籍した。副編集長、米シリコンバレー支局長、編集部長、日経ビジネスオンライン編集長、発行人を務めた後、2008年に日本ビジネスプレス設立。

地球の明日

世界各地で、経済も環境も政治も大きく変化し始めた。私たちの地球は歴史的に大きな転換点を迎えていると言っていい。しかし、その現象を近視眼的に見ては変化の本質はとらえられない。日本を代表する有識者が、歴史的、哲学的な視点から地球上で起こっている変化の本質を考察する。

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