(英エコノミスト誌 2014年4月5日号)

学費が無駄に終わる学位が多すぎる。学費がもっと安ければ、高等教育の投資利益率は高くなる。

収入と学歴、若い世代の女性で男性を上回る傾向に 米国

大学の学位は中間層への入り口と言われてきたが・・・〔AFPBB News

 ラティシャ・スタイルズさんは、2006年に米国のジョージア州立ケネソー大学を卒業した時、3万5000ドルの学生ローンを抱えていた。ローン返済は、スペイン語の学位がもっと給料の良い仕事に就く助けになっていれば、難しくはなかっただろう。

 しかし、中南米に国境を接するこの国では、スペイン語を話す人材は余っている。そこでスタイルズさんは、衣料品店やファストフード店で働いた。時給はわずか11ドルだった。

 失望したスタイルズさんは、思い切ってケネソー大学に戻り、より実用的なことを学ぶ決断を下した。改めて金融を専攻し、今は投資コンサルティング会社で良い仕事に就いている。ローンは6万5000ドルに膨れ上がったが、返済に困ることはまずないだろう。

 スタイルズさんの例が示すように、「大学は行く価値があるか」という問いに対する答えは単純ではない。費用に引き合う学位もあるが、そうではない学位もある。高額の学生ローンを借りるかどうか考えている米国の学生に向けてよく言われるのは、「大学は中間層への入り口」という言葉だ。しかし、真実はもう少し微妙な色合いを帯びている。

 例えば、米国のバラク・オバマ大統領は今年1月に、職業を身につける方が「美術史の学位を取るよりたくさん稼げる」とほのめかす発言をした。怒った美術史の教授が大統領に謝罪させたが、大統領の言ったことは正しい。

 米国のシンクタンク、ピュー・リサーチ・センターによれば、フルタイムで働く25~32歳の大卒者の年収は、同年齢の高卒者と比べて約1万7500ドル多い。しかし、すべての学位が同じように役に立つわけではない。4年制大学で学位を得るのに、居住費等を含めて年間6万ドルもかかる場合があることを考えると、多くの学生にとって、18歳から仕事に就く方が、結局、経済的に良いということになる。

 調査会社の米ペイスケールは、900以上の大学の卒業生から専攻科目と現在の収入に関するデータを収集し、さらに、学位を得るためにかかった費用も調べた。費用は、学費支援分(多くの大学では、優秀な学生や困窮した学生に対して大幅に学費を軽減する措置を講じている)を差し引いて計算した。ペイスケールは、これらのデータから、様々な学位の投資収益率を推定した(次ページの表参照)。

実用的な専攻は結果を得られる

 予想通り、工学を専攻すれば、大学を問わず見返りは大きい。カリフォルニア大学バークレー校の工学系の卒業生は、20年後までに、大学に全く行かなかった人と比べて110万ドル近く多くの収入を得ていることが期待できる。工学系ならば、20年間の回収額は、最低でも50万ドル近くが見込める。

 芸術と人文科学系の場合は、結果はそれほど一様ではない。いずれの分野も間違いなく心を豊かにしてくれるが、財布を豊かにしてくれるとは限らない。