(英エコノミスト誌 2014年3月22日号)

ニコラス・マドゥロ政権に対する貧困層の支持は条件付きだ。

 スーパーマーケット「ミクロ」の外にできた行列は、西カラカスのスクレ通りに沿って両方向に伸びている。砂糖や小麦粉が売り切れる前にどうにか店の入り口に辿りつきたいと願う、あらゆる年齢層の200人ほどの人たちが、真昼の日差しをできるだけ遮ろうと手をかざしている。

 「私はもう1時間半以上もここにいるのよ」。行列の前方で意気消沈した面持ちの年配の女性はこう言う。「それなのに、小麦粉はもう品切れですって」。ここはカティア。大統領宮殿にほど近く、長年、政府支持の牙城だった貧しい地区だ。だが、そうした支持の熱も、近くに埋葬されているウゴ・チャベス氏の1年前の死から冷めてきている。

反政府デモ続くベネズエラ、大統領が南米各国に会合呼び掛け

ベネズエラの反政府デモはまだ続いている(写真は3月6日)首都カラカスで警官隊に向け催涙弾を投げ返すデモ参加者)〔AFPBB News

 ベネズエラではここ6週間余り、30人前後の死者を出した社会不安に包まれている。すべての大都市で街頭での激しい衝突が起き、ベネズエラの体制と近隣諸国の双方に疑問を投げかけている。

 複数の野党指導者が逮捕された。抗議行動が最初に起きたサン・クリストバル市の市長は、3月19日に拘束された。

 食料不足、高い生活費、そして凶悪犯罪が、抗議者たちが訴える主な不満だ。だが、大半の都市では、暴力行為やバリケードは中流階級の多い地域に集中している。

 首都カラカスの西半分の地域――カラカスの東部および南東部とは異なり、与党・ベネズエラ統一社会党(PSUV)が支配している――は実質的に何も影響を受けていない。「ベネズエラはあべこべの国だ」。チャビスタ(チャベス支持勢力)の活動家、ケルビン・マルドナードさんはこう言う。「金持ちが抗議して、貧困層が満足しているんだから」

ある程度までは忠実

 だが、その満足感は本物というよりも見かけ上のものだ。「あちらと同じ問題は、ここにもある」と、西カラカスで年金生活を送るメルセデス・ロドリゲスさんは言う。彼女はもう1カ月も、血圧を管理するために必要な薬を探し回っている。「探さなかった場所はどこもないわ」。薬局「4F」でも空振りに終わった。カウンターの向こうの女性は、通常販売している医薬品の4割が品切れ状態だと話している。

 どうしてスクレ通りにはバリケードが張られていないのかと尋ねると、ロドリゲスさんは苦笑いを浮かべ、こう言った。「もしかしたら抑圧が強いのかもしれませんね」