(英エコノミスト誌 2014年3月22日号)

座礁した船が南シナ海の最新の火種になる危険をはらんでいる。

 ある意味では、東南アジア諸国連合(ASEAN)と中国の政府高官が3月18日にシンガポールで開いた会合は、これ以上ないタイミングで訪れた。何しろ激しい領有権争いが繰り広げられている南シナ海の海域で危険なまでに緊張が高まっており、今回の会合は、衝突の危険性を減らすための「行動規範」で合意しようとする、果てしなく続くように思える試みを再開しようとしていた。

中国のフィリピン船妨害は「挑発的」、米政府が批判

南シナ海の領有権争いで緊張が高まっている(写真は3月3日、フィリピン・マニラの中国領事館前で、南シナ海の領有権争いを巡って中国政府に抗議する人々)〔AFPBB News

 そのわずか9日前、中国海警局は、フィリピン船舶が南シナ海で係争中の島の1つに近い座礁船に物資を運ぶのを阻止した。

 そしてフィリピンは3月30日までに、中国が南シナ海の大部分に対する領有権を主張する根拠は国際法に照らして無効だと主張し、国連の仲裁裁判所に証拠を提出することになっている。

 だが、座礁船と裁判の双方に対する中国の態度は、行動規範で合意に達しようとするには、今がどんな時にも劣らないくらい悪い時期であることを意味している。どちらのケースでも、中国は妥協には関心がないように見える。

 南シナ海はこの先何年も、この地域の不安と米中の対立の源泉であり続ける運命にあるように見える。

フィリピン海兵隊員への物資供給を中国が阻止

 もともと第2次世界大戦中に米国が建造した船であるシエラ・マドレ号は、フィリピンでアユンギン礁、中国で仁愛礁として知られるセカンド・トーマス礁で1999年に意図的に沈められた。今ではこの船は水漏れする老朽船だが、この海域が国連海洋法条約(UNCLOS)に基づいてフィリピンが主張する排他的経済水域(EEZ)内にあることを象徴するため、一握りのフィリピンの海兵隊員が配置されている。

 しかし、中国もこの海域の領有権を主張しており、以前フィリピンとの間で見られたように――1996年にミスチーフ環礁で、そして2年前にスカボロー礁で――、とにかく支配権を確立することに専念しているように見える。

 中国が物資を供給する船を阻止したのは今回が初めてだ。中国は、物資供給船が建築資材を運んでいると主張し、建造物ができれば現状を変更することになり、将来の行動規範についてASEANと中国が2002年に調印した「宣言」に違反すると主張した。