(英エコノミスト誌 2014年3月15日号)

近年、多くの人々が政治的なコネで巨万の富を築いてきた。だが、縁故資本主義は衰えつつあるのかもしれない。

 ウクライナでビクトル・ヤヌコビッチ氏の政権が崩壊した時、政権に抗議する人たちの姿は、ロンドン西部の高級住宅地、ワンハイドパークの周辺でも見られた。抗議者たちが非難の標的にしていたのは、ウクライナ一の富豪にして旧政権の支援者、リナト・アフメトフ氏だ。「自分のペットをちゃんとしつけろ」と抗議者たちは叫んでいた。

 困難に見舞われているウクライナ国家は、長らくオリガルヒ(新興財閥)に支配されてきた。だが、新興国全体で、政治とビジネスの関係は、緊張をはらむものになっている。4月から5月にかけて実施されるインドの総選挙は、10年にわたる縁故資本主義の是非を問う国民投票という側面もある。

 トルコの首相は、建設会社が絡むスキャンダルに巻き込まれている。動画共有サイト「ユーチューブ」では、首相の罪を示すとされる会話の録音を数百万のトルコ人が視聴している。

 3月5日には、中国の習近平国家主席が、国民の怒りをなだめるために、腐敗を「容赦なく」取り締まると明言した。2012年に規律違反で処罰を受けた中国の役人の数は、2011年から4万人増加し、18万2000人に達した。

 20世紀初頭の米国がそうだったように、新たに生まれた中間層が力を示し始めている。だが、今回の動きは、世界規模だ。市民は私腹を肥やすことのない政治家を、優遇を受けずに競争をする大物実業家を求めている。資本主義を資本家から守るための革命が進行しつつある。

レンタル業者には手が届かないレント

 「レントシーキング」とは、特殊な形の利益追求活動を指す経済用語だ。すなわち、政治的なコネにより可能になる類の利益(レント)の追求活動である。具体的には、直接的な賄賂、競争の欠如、貧弱な規則、公有資産の格安での企業への譲渡など、さまざまな形でレントが追求される。

 有力なコネを持つ人々がそうした形で富を築く経済活動は、支配者がその取り巻きに有利な許認可や契約を与えられる権力を手にして以来、ずっと続いてきたことだ。

 米国では、19世紀後半にこのシステムが絶頂を極め、以後、悪徳資本家との長い闘いが続き、部分的には成功を収めた。独占禁止法により、ジョン・D・ロックフェラーのスタンダード・オイルのような独占企業は解体された。上院議員に流れる賄賂も少なくなった。

 新興国のレントシーカーにとっては、ここ四半世紀は素晴らしい時代だった。不動産価格の高騰のおかげで、事業認可を頼みとする不動産開発業者の懐が潤った。コモディティー(商品)市場の好況により、油田や鉱山の価値が膨らんだ。油田や鉱山には、常に国が複雑に関係する。