(英エコノミスト誌 2014年3月1日号)

韓国最大のポータルサイト「ネイバー(NAVER)」は、自国ではヤフーを完敗に追い込み、グーグルを寄せ付けない。そして同サービスを率いるトップは今、メッセージサービスによる世界制覇を計画している。

 ダウンジャケットには普通、ニワトリではなくアヒルの羽毛が詰められている。なぜか? 「ネイバーに尋ねてみよう」――。

 韓国のポータルサイトであるネイバーは2003年に、こんな文面の広告を出した。当時の同サイトの目玉は、ユーザーの力を借りて回答を得るクラウドソースの手法を用いた、革新的なQ&Aサービスだった。こうした目を引く特徴はあったものの、ライバルがひしめき合い、米国のヤフーや別の韓国企業ダウムが支配する市場に乗り出した時、ネイバーの勝ち目はあまりないように思われていた。

 2013年、ネイバーは100万件目にあたる質問を掲載した。その内容は、あるユーザーが忍び笑いで始まる歌の題名を尋ねたものだった。わずか14分後に回答が寄せられた。正解は、米国人シンガーのケシャが歌う「ブロウ」だ。

韓国の検索市場で8割のシェア、KOSPIで6番目に大きな企業に

 毎日約1800万人がネイバーのホームページを訪れる。ネイバーは韓国の検索市場のほぼ80%を握り、これにより韓国は世界でもたった3カ国という、グーグルが検索分野のトップではない国の1つとなっている(残り2カ国はロシアと中国)。

 グーグルは韓国の検索市場ではわずか4%を占めるにすぎない。ヤフーは、ポータルサイトの訪問者数で第10位と大きく引き離され、2012年に韓国市場向けに特化したコンテンツの提供を停止した。

 ネイバーが開設された当時は、韓国語で書かれたウェブページはそれほど多くなかった。ゆえに、ネイバーの質問サービスは絶妙な手だった。他のユーザーの質問に答えたユーザーは、多くのコンテンツを無料で提供してくれた。ネイバーは「一般人」から「スーパーマン」までの階級をユーザーに与え、書き込みを続けるよう促した。

 「誰もがサイバースペースで神になりたがっていた」と、2007年に出版された書籍『ネイバーの成功の秘訣』の著者、リム・ウォンキ氏は証言する。

 欧米のポータルサイトの中には広告収入が落ち込んでいるところもあるが、ネイバーの広告収入は今でも伸び続けている。サムスン証券のパク・ジェイ氏によると、ネイバーの売り上げの4分の3を占めているオンライン広告収入は、2013年に7.7%の伸びを示した。パク氏は、今後もこの程度のペースで成長が続くと見ている。

 カネがどんどん入ってきていることから、ネイバーはもはやユーザーが提供する無料素材に頼る必要はなく、百科事典から動画まで、多くのコンテンツを独占的に買い占めることができる。独占提供のため、競合する検索エンジンはこれらのコンテンツへのアクセスを阻止される。