(英エコノミスト誌 2014年2月22日号)

成長著しいハイテク企業は今、不平等に関する懸念の渦中にある。

 ハイテク界の大物は、自分たちはウォール街の大物とは全く異なる人種だと思いたがる。彼らは、我々が世界をポケットに入れて持ち歩けるようにするクールな機器を作っている。スーツでなくパーカを着る。そして彼らはコネではなく天賦の才のおかげで成功を手に入れている。

 スティーブ・ジョブズ氏の名言を借りれば、彼らは「クレイジーな人、はみ出し者、反逆者、トラブルメーカー、不適格者」だ。

サンフランシスコ住民の怒り

 だが、サンフランシスコに住む多くの人にとっては、それは何の違いもない名ばかりの区別だ。抗議者はもう数カ月間、グーグルその他の大手ハイテク企業がサンフランシスコの南40マイルに位置するシリコンバレーまでの社員の送迎に使っているプライベートバスの運行を妨害している。

 彼らは市営バスの通行を妨げることの多いプライベートバスが、タダ同然で市のバス停を使用していることに特に腹を立てている。また高給取りのギークたちの流入によって、不動産価格や賃料が吊り上げられたことにも怒りを感じている。

 そうした反感は、最近催された授賞式――テッククランチというウェブサイトが主催するクランチーズ賞――をハイテク企業叩きの祭典に変えた。会場の外では抗議者たちが「クラッピーズ」と銘打った独自の疑似授賞式を開催し、「年間脱税王」の栄冠に輝いたツイッタ―の最高経営責任者(CEO)、ディック・コストロ氏に黄金のトイレブラシを贈呈した(この賞はツイッターがサンフランシスコ市から受けた、合法だが物議を醸す優遇税制措置に言及したもの)。

 会場内では、正式な表彰式の司会を務めるコメディアンのジョン・オリバー氏が一堂に会した億万長者らに叱責を浴びせた。「あなた方は既に世界中のお金をほぼすべて持っているのに、なぜ賞まで欲しいのか」と言ったのだ。

 そして、マーティン・スコセッシ監督の最新作「ウルフ・オブ・ウォールストリート」の次回作は舞台を西海岸に設定し、「すべてのカネと贅沢三昧、10%ほどのセックス」にすべきだと提案した。

 1月にはシリコンバレーのベンチャーキャピタリストのトム・パーキンス氏が、ハイテク界のエリートを批判する人々を、「水晶の夜」事件でユダヤ人を襲ったナチの突撃隊になぞらえ、パーキンス氏自身もその1人であるエリート層は傲慢で、感覚がずれていると批判する人たちに攻撃材料を与えた。

 とはいえ、こうした批判の多くはナンセンスだ。サンフランシスコには、たとえお金がなくても、自分には世界で最も魅力的な場所の1つに住む権利があると考える人を含め、人口に見合う以上のプロの抗議者(デモを行うことで報酬を得る人)がいる。