(英エコノミスト誌 2014年2月15日号)

エネルギーブームは米国と世界にとって良いことだ。バラク・オバマ大統領が少し助けになってくれるといいのだが。

シェールガス、世界の天然ガス47%増やす 米エネルギー省

シェール革命は地政学をも変える(写真は米ペンシルベニア州ウェインズバーグにあるシェールガス採掘現場)〔AFPBB News

 「早起きし、一生懸命働き、石油を掘り当てろ」――。今は亡き石油王、J・ポール・ゲティの成功の法則は、米国でうまく奏功している。

 米国は石油とガスの世界最大の産出国として既にロシアを抜いた可能性があり、2020年までには、燃料としてより価値のある石油の生産でサウジアラビアを追い越し、世界最大の産出国になっているはずだ。

 その時までに「フラッキング(水圧破砕)」革命――頁岩(シェール)層から石油とガスを抽出する賢い方法――は、米国の国内総生産(GDP)を2~4%押し上げ、自動車産業が現在提供している2倍の雇用を創出しているはずだ。

米国が創意工夫で生み出したエネルギーブーム

 これらはすべて、米国の創意工夫の賜物だ。コモディティー(商品)は、他の国々にとっては功罪相半ばするものだった。だが、この石油ブームは努力で得られたものだ。地質学上の幸運よりも、進取の気性や調達しやすい資金、素晴らしい技術に負うところが大きいのだ。

 米国のエネルギー企業は、誰もがそこにあると知っていながら、経済的に抽出できなかった炭化水素を汲み出す新しい方法に投資してきた。

 テキサスやノースダコタの新たな油田は、まるでハイテク工場のようだ。衛星技術によって導かれる「傾斜」ドリルが、何マイルも下向きに掘り進み、向きを変えて横に掘り、トラックの車輪ほどの大きさの目的物に到達する。次に、岩盤に細い亀裂を開けるために数千ガロンの水が注入され、石油とガスが吸い出される。

 世界の他の国々の視点から見ても、アメリカ石油国は有益だ。フラッキングは、新しいだけでなく、比較的きれいで安く政治的しがらみのないエネルギー源を提供してくれる。また、石炭のような低質燃料やロシアのような強奪的な供給国への依存を減らしてくれるはずだ。

 さらに、フラッキングは極めて柔軟性が高い。メキシコ湾岸に石油掘削装置を設置するのには何年もかかることがある。だが、米国のフラッキング業者は数週間以内に井戸を掘り、汲み上げることができる。そのため、石油価格が高騰すれば、業者は掘る井戸を増やす。価格が下がれば、古い井戸を休止させる。

 理論的には、米国の産出業者が市況に素早く対応できるため、フラッキングは将来の石油ショックの衝撃を和らげてくれるはずだ。