先週の建国記念日(2月11日)、中国海軍南海艦隊戦闘即応戦隊(以下、「戦闘即応戦隊」)が23日間のパトロールを終えて湛江海軍基地に帰還した(本コラム「南シナ海支配へ拍車をかける中国」参照)。戦闘即応戦隊は、輸送揚陸艦「長白山」、“イージス”駆逐艦「海口」、ミサイル駆逐艦「武漢」という3隻の軍艦で構成されていた。

 オーストラリアの公共放送局であるオーストラリア放送協会(ABC)は、このおよそ8000海里にわたる戦闘即応戦隊の航海を、オーストラリアの安全保障にとって重大な意味を持つニュースとして放映した。

 そのリポートは、オーストラリアの安全保障専門家、ローリー・メドカフ氏(Lowy Institute for International Policy)の次のような警告を紹介していた。

 「オーストラリアの“北の玄関口”周辺海域で、中国が2万トン級の新鋭揚陸艦とイージスシステム搭載艦を含んだ新鋭駆逐艦による示威的航海を実施したのは、オーストラリアのインド洋での海上航路帯に対して中国海軍が直接影響力を行使できることを初めて具体的行動で示してみせた、極めて意義深い出来事である」

戦闘即応戦隊の航路

 オーストラリアが戦闘即応戦隊の遠洋訓練航海に神経をとがらせたのは、この戦隊の航路に大きな理由がある。

戦闘即応戦隊パトロール航路
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