(英エコノミスト誌 2014年2月15日号)

アジアの状況は米国の思うようには進んでいない。

ケリー米国務長官が訪中、習主席らと会談

2月14日、北京で、習近平国家主席との会談に臨むジョン・ケリー米国務長官〔AFPBB News

 米国のジョン・ケリー国務長官が2月12日、中国、韓国、インドネシア、アブダビ歴訪に向け米国を出発した。

 バラク・オバマ大統領率いる米国政権はアジアを軽視しているとの批判を受け、米国政府関係者は当然のことながら、ケリー長官が北東アジア、東南アジアを訪れるのはこの1年で5度目となることを懸命に強調している。

 アジア地域では特に、ケリー長官は中東和平交渉に気をとられ、オバマ大統領の第1期目に発表されたアジアへの「ピボット(旋回)」、あるいは「リバランス」をおざなりにしていると批判されている。

 ケリー長官の飛行距離は増える一方だが、米国のアジア外交は順調とは言い難い。新興大国の中国との関係は緊張をはらみ続けている。地域最大の同盟国である日本とも、複数の重要課題を巡って意見の食い違いがある。地域的貿易協定を締結する努力も、設定した期限を何度も過ぎている。

 アジアの一部外交筋は、中国が領有権争いで強硬な主張をするのは、米国が関与を弱めていると見られるせいだと非難する。2013年10月に東南アジアで2度のサミットが開催された際、オバマ大統領は、米国政府機関が一部閉鎖に追い込まれたために、これらのサミットを欠席した。これによって誤ったメッセージが伝わったというのが、彼らの言い分だ。

日本と中国の狭間で

 原因は何であれ、彼らの言う中国の強硬な主張の結果、米中が互いに望むと表明している広範な協力関係が阻害されている。それどころか、ケリー長官のアジア歴訪には、地域の緊張の影が重くのしかかる。とりわけ、日本と中国がともに尖閣諸島(中国名: 釣魚島)に海と空から目を光らせている中、両国の衝突が懸念される。

 米国は、尖閣諸島の主権に関してどのような立場にも立たないとしながらも、尖閣諸島は日本の施政下にあり、そのため日米安全保障条約の適用対象となるとの見解を示している。

 米国の高官は2月に入り、2013年11月に中国が一方的に防空識別圏(ADIZ)を設定したことを改めて批判した。ADIZは東シナ海の一部に及び、尖閣諸島上空を含む。この高官は中国に対し、中国が台湾や東南アジア諸国4カ国と領有権を争っている南シナ海にもADIZを設定すれば、米軍部隊の配備を変更することもあり得ると警告している。