最近、若手社員と電話をめぐるトラブルを各所で耳にすることが増えてきた。

 「いつも携帯電話を触ってばかりだ」ではなく、「オフィスにかかってきた電話を取らない」「顧客様とアポを取るよう指示しても、頑として電話をかけず、メールでアポを取ろうとする」などである。

 つまり、自分の携帯電話は手元から離さないが、会社の電話には「近づかない」。いや、「近づけない」となっているらしい。

 この話は2010年頃から通信社、人材派遣や食品卸等の営業部門で、時々小耳にしていたが、2013年に入って業種、企業規模を問わず、多くの場所で似たようなことが起きているようである。電話のかけ方、取り方を、「一から教えた」「新人研修のカリキュラムに加えた」といった動きも出ている。

固定電話を置かない家庭は予想以上に増えている

 当の彼らの言い分を聞いてみると、「知らない人からかかってくる電話は、なんだか怖い」「会ったこともない人といきなり話をするのはハードルが高い」から、「他人が触っている受話器に触れたくない」などの声が返ってくる。

 単純に、プライベート以外での電話のかけ方、取り方に触れる機会がなかったというのも事実であるが、その裏には携帯電話普及の反動とでも言える構造的なコミュニケーションギャップが生まれているように感じられる。

 携帯電話が本格普及し始めたのが、インターネット同様、1995年頃である。当時生まれた子供たちは、現在、18~20歳。その当時、幼児期であった子供たちは、21~25歳ぐらいとなり、現在の若手社員と符合する。おそらく、身の回りに携帯電話があることを前提とした世代であり、「固定電話」への接し方は、「携帯電話以前」の旧人類が見落としてきた、想像以上に大きな違いがある。

 実際、固定電話の利用は、想像以上に空洞化している。IP電話の普及や料金引き下げなどの企業努力はあっても、日常生活で身の回りから離さない携帯電話がコミュニーションツールとして圧倒的に強力であることは誰にも否定できない。

 1995年よりも前の時点で、自宅に固定電話を置いていた中高年層においても、「携帯電話だけで用が足りる」と考える人は増えており、現在の20代後半から30代については、「固定電話を積極的に活用する必要性はない」したがって、家の電話(=家電:いえでん)はなく、携帯電話のみとする世帯が予想以上に増えている。