(英エコノミスト誌 2014年2月8日号)

FRBは量的緩和を「テーパリング」しているかもしれないが、日本と欧州の中央銀行はまだ金融を緩和している。

 金融市場の激変について誰か非難する人を探している人たちは、米連邦準備理事会(FRB)を指差しがちだ。債券購入を通じて金利を抑える制度を段階的に減らすことで、FRBは、資本が新興国から一斉に逃げ出し、利回り上昇を期待して先進国に押し寄せるのを促した、というのがその理屈だ。

 だが、これまでより拡張的でない金融政策へのFRBの転換は、全体の話の半分にすぎない。世界第2位と第4位の経済(市場為替相場ベース)であるユーロ圏と日本の中央銀行は、まだ反対方向に動いている。

ユーロ圏と日本はまだ金融緩和

 日本では、安倍晋三首相率いる政府が、米国のプログラムに匹敵する債券購入プログラムなどを通じて、日本経済に15年間つきまとってきたデフレを懸命に追い払おうとしている。日本が過去のデフレの亡霊に立ち向かっているのだとすれば、ユーロ圏はまだ訪れていないデフレに脅えている。

 速報値では、消費者物価の総合指数の上昇率が1月に0.7%まで低下したことが示されており、欧州中央銀行(ECB)に主要政策金利を0.25%に引き下げるよう促した昨年10月の水準に並んでいる。本誌(英エコノミスト)が印刷に回された2月6日に会合を開いていたECBの理事会は、追加利下げを行うか、供給する流動性を増やすか、どちらかの方法で再び金融政策を緩和するよう求める圧力に直面していた。

 日銀は昨年、新たに総裁に任命された黒田東彦氏の下で、月間7兆円(700億ドル)の資産を購入し始めた。7兆円という金額は、FRBの月間購入金額(当時は月850億ドルだったが今は650億ドルになっている)に近く、日本経済の規模と比較すると、米国のそれよりはるかに大規模だった。

 日銀は、この「量的緩和(QE)」を今まさに拡大しようとしていると広く考えられている。これまでのところ、その結果は期待できるものだ。

 2012年に既に下落し始めていた円は、昨年さらに下落し、企業収益と株式市場の急上昇をもたらした。円安は特に消費者物価総合指数を押し上げ、昨年12月には上昇率が1.6%に達した(図参照)。

 だが、コアインフレ率(エネルギーと食品を除く)もプラス領域に入っており、1998年以来最も早いペースで上昇している。

 多くの観測筋は、日銀が来年春までに2%のインフレを実現するという目標を達成することを疑問視しているが、それはもう非現実的な目標には見えなくなっている。さらに、黒田総裁は、ECBのマリオ・ドラギ総裁のユーロ救済の言葉をそのまま繰り返し、「何でもする」と明言している。