(英エコノミスト誌 2014年2月8日号)

米議会が可決した農業法は、超党派による連携の評判を落とすものだ。

 米議会が行き詰まっている間は、「政府の円滑な運営」がいかに醜悪なものになり得るかを忘れるのは容易だった。2年の遅延を経て、1兆ドル近くを費やす奇妙な法案、農業法が上院で可決されたとの知らせは、この点を改めて思い知らせるものだった。

 農業法は、主に貧しい人々が受け取る給付金(フードスタンプ)と、主に金持ちに交付される農業補助金(大規模農家向けの農作物補助金)を寄せ集めたものだ。一から法案を作るのなら、貧困の解消または農業経営の改善のどちらかに関心を持つ人は誰も、このような法律を起案しないだろう。しかし今、この法律が復活した。

復活した奇妙な法律

 農村と都市の利益を結びつけたこの法律は、1970年代に2つの法案が統合された時代に起源を持つが、一時的に失効していた。これは主に、フードスタンプ(農業法の支出の80%を占めている)と農業補助金を別個に扱いたいと考える一部の共和党下院議員のおかげだった。このような考えを持つ議員たちは、財政規律の維持と、福祉は労働意欲をなくさせるという信念を動機としていた。

 しかし、2014年11月に中間選挙が迫っていることから、多くの共和党議員は考えを改め、農業法案を可決することにした。こうした議員の一部は、地元の選挙区民向けに農業補助金を確保できなければ、議席が危うくなっていたかもしれない。

 もう1つの懸念は「乳製品の崖」だ。仮に新法案が可決されていなかったら、1949年の価格維持法が発動されるところだった。価格維持法は、お腹をすかせたベビーブーム世代の小児向けにミルクを生産することが最優先事項だった時代に作られた法律で、この法律が適用されると、政府は現行相場の約2倍の価格で乳製品を購入する義務を負うはずだった。

 クリスマス前に政府機関を閉鎖することが政治的ダメージにつながると理解できなかった人々も、朝食の価格が2倍になればダメージになることは直ちに理解したようだ。

 農業法案は、大金持ちが給付金を受けているという批判を封じる施策など、選挙戦でのアピールを狙ったフードスタンプ制度に関する見せかけの改革案を付け加えて可決された。民主党員はスタンプ支出額の大幅削減に不満を述べたが、実際には今後10年間の削減幅は、旧制度の支給額に比べてわずか1%にすぎない。

 大局的に見ると、フードスタンプへの政府支出は2000年以降爆発的に増加している。スタンプの受給者数は2000年の1700万人から2007年には2600万人に増え、その後、景気後退の影響が出るにつれて2013年には4800万人に拡大した。ただし、経済が成長に転じる中で今後は受給者数が再び減少に転じると予想されている。