本記事はLongine(ロンジン)発行の2013年10月11日付アナリストレポートを転載したものです。
執筆 笹島 勝人
本資料のご利用については、必ず記事末の重要事項(ディスクレーマー)をお読みください。当該情報に基づく損害について株式会社日本ビジネスプレスは一切の責任を負いません。

投資家に伝えたい3つのポイント

●日本銀行が異次元緩和に踏み切って半年、民間銀行などから膨大な国債を買い取り資金供給しています。
●しかし銀行貸出に向かわず、日本銀行の当座預金へ資金が還流し、カネが回っている実感は希薄です。
●株式市場は銀行貸出との関係も強く、プラス・マイナスの両面で今後のトレンドを注視しています。

日本銀行の国債保有額は168兆円、1年前に比べ65兆円増加

日本銀行は「営業毎旬報告」という資料を通じて毎月3回、10日・20日・月末の簡単なバランスシートを公表しています。ジャスダックに上場している日本銀行は、ディスクロージャーが最も優れた上場銀行かもしれません。その「営業毎旬報告」をみると、量的緩和の規模、異次元の度合いがわかります。2013年9末の総資産残高は208.2兆円、前年比58.3兆円増(38.9%増)です。最大の要因は、国債保有残高が167.7兆円、同64.8兆円増(63.0%増)まで急拡大したためです(図表1)。

ETF、REITも大幅に増加だが、国債が圧倒的

株式市場の観点から関心が高いのは、リスク資産の買い取りでしょう。日本銀行が金銭の信託を通じて保有している株式・ETF(指数連動型上場投資信託)・REIT(不動産投資信託)は、2013年9月末で3兆7,129億円、前年比8,132億円増(28.0%増)となりました。ETFが2兆2,141億円、同8,213円(59.0%増)、REITは1,382億円、同414億円(42.7%増)です。それぞれ大幅な増加ですが、いかに国債の買い取り規模が圧倒的に大きいか、単位の違いをみればわかるでしょう。