(英エコノミスト誌 2014年1月25日号)

日中間の激しい外交競争は、危険なまでの感情の高ぶりを示している。

 中国と日本の間で繰り広げられている外交の消耗戦は、新たに戦いの火が燃え上がらない日がないほどだ。

 日本は、中国が2013年11月に設定した「防空識別圏(ADIZ)」について、いまだに不満を表明している。この領域は東シナ海の一部に及び、日本の支配下にある島々の上空を含んでいる。一方、中国は日本の安倍晋三首相が12月26日に靖国神社に参拝したことを非難し続けている。靖国神社に祀られている戦死者の中には、A級戦犯が含まれている。

 安倍首相の参拝以降、中国の大使30人以上が世界中の新聞に続々と論文を寄稿し、日本が軍国主義に戻ろうとしているとの非難を展開した。日本の外交官も、中国の積極的な軍備増強を批判する寄稿で応酬している。

 どちらの国も、この舌戦に勝っていない。1月第4週に入り、戦いは世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)に舞台を移した。安倍首相はここで再び中国の軍備増強を批判し、日中の対立を第1次世界大戦前のドイツと英国の関係になぞらえて不安を呼んだ。恐らくこれは、不安を利用する戦術なのかもしれない。

 だが、この発言は、外交上の口論がはらむ真のリスクを浮き彫りにしている。こうした諍いは大抵、「面白い」と「恥ずかしい」と「やや不安を抱かせる」のどこかの領域に入ると見られる。いわば、夕食会でのちょっとしたもめごとが殴り合いに発展しそうになるのを見ているようなものだ。

 他のほとんどの国には、介入する理由も、どちらかの味方につく理由もない。実際、一部の国は他国の忠誠を奪い合う両国の争いに乗じて利益を得ることを期待しているかもしれない。

国の評判を落とす見苦しい争い

 国際世論の支持を得ようとする日中両国の争いの中で、唯一、明確な勝者を生み出すのが韓国だ。中国は先日、1月19日に中国東北部の街ハルビンでオープンした安重根記念館に対する日本からの批判を退けた。安はハルビン市内で暗殺を実行した後、1910年に日本によって死刑に処せられた朝鮮人の国家主義者だ。

 日本が植民地支配していた韓国の統監だった伊藤博文を殺した安を、日本は「テロリスト」と見なしている。しかし、中国の報道官は安を「著名な義士」と呼び、即座に話題を安倍首相の靖国神社参拝に切り替えた。韓国と中国のつながりは密接になっており、朴槿恵(パク・クネ)大統領は2013年6月に中国を訪問した際、記念碑の建造を求めていた。

 しかし、その他の国々においては、非難の応酬と中傷合戦は両国の評判を落としている。中でも最悪なのが、両国の駐英大使による、ハリー・ポッターの物語にかこつけたあてこすりだ。