(英エコノミスト誌 2014年1月25日号)

中国での外国企業の状況は厳しくなりつつある。踏みとどまりたければ、適応しなければならない。

 米コカ・コーラの最高経営責任者(CEO)を務めた故ロベルト・ゴイズエタ氏によれば、1981年4月15日は「世界の歴史のなかでも、ひときわ重要な日」となった。この日、中国で、共産革命以来初めて建設されたコーラ瓶詰め工場が操業を開始したのだ。

 この発言は大げさだが、全くのでたらめでもない。毛沢東の破滅的な政策のせいで、中国経済はずたずたにされていた。国民の最高の望みは「回転する4つのもの」、すなわち、自転車、ミシン、扇風機、腕時計を手に入れることだった。当時の中国の指導者、鄧小平による外国企業の誘致は、中国を世界最大級かつ最も急成長する市場へと変えていく一連の変革の一環だった。

 過去30年の間、中国には多国籍企業が流れ込んできた。金融危機以降は、多くの企業が中国に救いを求めた。だが今、ゴールドラッシュが終わりそうな気配を見せている。

痛みが増し、利益が減る

 中国市場は今でも、いくつかの点では世界で最も魅力のある市場だ。中国が世界の個人消費に占める割合は8%ほどにすぎないが、2011~13年には、ほかのどの国よりも消費の成長に貢献した。米ゼネラル・モーターズ(GM)や米アップルなどの企業は、中国で膨大な利益を上げている。

 だが、多くの外国企業にとって、状況は厳しくなりつつある。その主な原因は、成長が減速する一方、コストが上がっていることだ。才能ある若い労働者を見つけるのが難しくなり、賃金も高騰している。

 中国政府は以前から常に、一部の分野の企業に困難を強いてきた。例えば外国の銀行や証券会社の市場参入を制限し、米フェイスブックや米ツイッターなどのインターネット企業を締め出してきた。だが、そうした厳しい姿勢は、広がりつつあるように見える。

 米シスコシステムズ、米IBM、米クアルコムといったハードウエア企業は、エドワード・スノーデン氏の事件後に生じた逆風に直面している。製薬会社の英グラクソ・スミスクライン(GSK)は、汚職捜査で罠にかかった。アップルは昨年、保証の不備を巡る屈辱的な謝罪に追い込まれた。米スターバックスは、価格を不当につり上げているとして国営メディアに非難されている。

 影響が広範囲に及ぶ消費者権益保護法の改正法が3月に施行されれば、多国籍企業に対する攻撃が激しさを増す可能性がある。さらに、役人の浪費に対する中国政府の取り締まりも、贅沢品を売る外国企業を直撃している。

 競争は過熱している。中国は以前から、グローバルブランドにとっては世界で最も過酷な戦場だったが、長らく品質で後れを取ってきた国内企業も競争に参入しているのだ。その多くはいまや国外で経験を積み、なかには独創的な製品を開発している企業もある。