(英エコノミスト誌 2014年1月18日号)

インターネット大手のグーグルは一連の買収により、ハードウエアの有力な発明者、そして再発明者になる態勢を整えた。

 グーグルでは、それは「歯ブラシテスト」と呼ばれる。ラリー・ペイジ氏は2011年にグーグルの最高経営責任者(CEO)に復帰して間もなく、歯ブラシのように誰もが毎日少なくとも2回は使うサービスをもっと開発してほしいと述べた。同社の検索エンジンと携帯端末向け基本ソフト(OS)「アンドロイド」は、そのテストに合格する。

 そして今、最近行った一連の買収で、グーグルはロボットから自動車、家庭の暖房制御に至る様々な分野で「歯ブラシ」製品を開発し、ハードウエアの世界でもソフトウエアの世界と同じくらい大きな存在になろうとしているように思える。

ハードウエア企業を相次ぎ買収

 同社が直近買収したのは、高機能のサーモスタット(温度調節装置)や煙探知機を製造するネスト・ラブズだ。グーグルは1月13日、現金32億ドルで同社を買収すると発表した。ハードウエア分野でグーグルが見せたこれまでで最も大きな動きは、2011年に125億ドルで携帯端末メーカーのモトローラ・モビリティーを買収した一件だ。

 ここ数カ月間、同社はロボット関連企業を次々と買い漁っている(右表参照)。中でも注目すべきは、「BigDog(ビッグドッグ)」や「Cheetah(チーター)」といった名前の、歩いたり走ったりできる2足歩行、4足歩行のロボットを生産するボストン・ダイナミックスだ。

 グーグルの社内エンジニアたちは、無人自動車や「グーグル・グラス」をはじめとするウエアラブル機器の開発にも追われている。

 ネストの買収でグーグルは家電ビジネスに進出することになる。これはまた別の、ずっと古い歴史のある米国のコングロマリット(複合企業)が事業をスタートさせた分野だ。ゼネラル・エレクトリック(GE)は1890年代に初めて扇風機を生産し、1907年には家庭暖房機器と調理用器具のフルラインを開発し、その後、今も好調な工業・金融の巨大企業に成長した。

 GEの初期の製品に共通していたのは電気だった。当時、企業はまだ電気を利用することをやっと学んでいるところだった。一方、グーグルのハードウエア事業のコレクションに共通するのはデータである。物理的な機器をよりインテリジェントにするためにデータを収集・解析しているのだ。

高値づかみの懸念も

 とはいえ問題は、グーグルが開発したり買収したりしている様々な事業を組み合わせて、より収益性の高いエンジニアリングの巨大企業に発展させられるのか、それとも、同社は何十億ドルもの資金を無駄にする恐れがあるのか、ということだ。

 グーグルが高値づかみの買収を行いかねないという懸念は、今では570億ドル前後に上る同社の現預金の規模が膨らむにつれて高まってきた。