(英エコノミスト誌 2014年1月18日号)

中国は魚に対して防空識別圏(ADIZ)を設定した。

 どうやら魚さえも、中国の領有権主張から免れないようだ。今年1月1日、中国最南端の省である海南省政府の新規制が発効し、海南省の管轄下にある海域で魚を捕るすべての船は中国当局から許可を得ることが義務付けられた。

 中国は他国も領有権を主張している南シナ海の一部に対する領有権を主張していることから、新規制は極めて挑発的に見える。挑発は実際には中国の意図するところではないかもしれないが、近隣諸国はとても安心していられない。

中国の意図は挑発か漁業規制の強化?

 南シナ海の沿岸国で中国と最も激しい領有権紛争を抱えているフィリピンとベトナムは、海南省の新規制をすぐに非難した。米国は、この規制は「潜在的に危険」だと言った。

 日本の防衛相はこの規制を、昨年11月に日本の施政下にある尖閣諸島(中国名:釣魚島)を含む東シナ海の一部空域に防空識別圏(ADIZ)を設定するという中国による突然の発表と比較し、中国は「一方的に既存の国際秩序を脅かしている」と述べた。

 中国側はそれを否定し、この規制には何ら目新しいものは含まれていないと言う。承認申請を義務付ける論争を呼んだルールは、1986年に制定された漁業法に含まれており、1993年に海南省の省法に取り込まれた。規制の公布は、法律上のちょっとした整理に過ぎないと中国政府は示唆している。

 南シナ海問題の専門家であるマサチューセッツ工科大学(MIT)のテイラー・フラベル氏はオンライン雑誌「ザ・ディプロマット」への寄稿で、この規制の主目的は実際に、中国の主権の主張を強めることではなく「大規模な水産業を抱える島である海南省として漁業規制を強化することにある」ように見えると書いている。

 フラベル氏はさらに、この規制は騒動を引き起こした条項に加え、水産資源の保護や、魚の種類ごとに捕獲してもいい最低限の体長(ロブスターなら18センチ)などの問題も網羅していると指摘している。

 しかし、中国は、自国が領有権の主張について曖昧であると同時に非妥協的である時に、南シナ海に影響を及ぼす規制に対する外国の批判に対して不平不満を述べることは到底できないはずだ。