今回の『中山泰秀のやすトラダムス』(1月19日放送/Kiss FM KOBEで毎週日曜24:00-25:00放送)では、23日に告示される東京都知事選を取り上げたほか、19日に投開票された沖縄県名護市長選の結果や、そこから見る日米中関係などについて解説した。

歴代「元首相」はリスクの源?

中山 23日告示の東京都知事選に注目が集まっています。リスナーの方から今回の都知事選に関する意見を求められていますので、取り上げたいと思います。

 私は、良い意味でも悪い意味でも「元首相のリスク」というものを感じています。リスクは逆から読むとクスリですが、クスリには副作用がつきものです。

 例えば、鳩山(由紀夫)元首相は「トラストミー」という発言や、辞任後に「尖閣諸島は日本が中国から盗んだと思われても仕方ない」と述べるなど、我が国の外交に大きなリスクをもたらしました。

 また、森(喜朗)元首相が、ロシアのプーチン大統領との会談で北方領土の2島返還を提案し、後に菅(義偉)官房長官が「日本政府の立場はあくまで4島返還」と訂正談話を出したのは記憶に新しいところです。

東京・西新宿の都庁(ウィキペディアより)

 そして今回、細川(護煕)元首相と小泉(純一郎)元首相がタッグを組んで都知事選に乗り込もうとしている。

 私は日本の政治課題のうち、与党自民党が分割しかねない3つのテーマがあると思っています。それは、消費税問題、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)問題、そして原発問題です。

 細川・小泉陣営は今回、その中から原発問題を取り上げて「脱原発」というワンイシューを選挙の争点にしようとしています。その中身の是非は置いておくとして、私が最も懸念しているのは景気に与える影響です。

 昨年、日経平均株価の上昇率は56.7%を記録しました。年金積立金の運用利回りは10.23%に伸び、運用益は11兆2222億円の黒字になっています。これは平成13年以降最高であり、まさに「アベノミクス」の影響で円安・株高が進み、特に国内外株式の運用益が膨らんだということです。

 それを考えると、せっかく景気が上向きかけてきたこのタイミングで、政権与党が割れかねない原発問題を都知事選の争点にするのは、やはり大きなリスクではないでしょうか。