(英エコノミスト誌 2014年1月18日号)

日本は他のあらゆる国と同じように自国を防衛できて然るべきだ。戦争犯罪者をあがめることは、それを難しくする。

安倍首相が靖国神社を参拝、中国は批判

昨年12月26日、靖国神社を訪れ、宮司の後を歩く安倍晋三首相〔AFPBB News

 中国が、同国が釣魚島と呼ぶ争点になっている島嶼に兵士を上陸させることにしたと想像してみてほしい。

 この無人の島嶼を尖閣諸島と呼び、その施政下に置いている日本は、自国の法律上、中国軍の侵入に武力で対処することができないかもしれない。海上保安庁は民間の船を追い払うかもしれないが、空や潜水艦から上陸する部隊は無理かもしれない。

 日本の平和憲法が、自国の市民が負傷するまで自衛隊による反撃を許さないかどうかは明確でない。また、日本の主たる同盟国である米国が、尖閣諸島から中国軍の部隊を追い出すために戦争を始めるかどうかも明らかではない。

 こうした不確実性は、中国を判断ミスに誘い込む恐れがあるため、危険だ。さらに、日本が全面的に機能する同盟諸国の一員であって、応分の負担を負い、同盟国の防衛に加わることができたなら、日本の同盟関係はもっと強く、もっと頼もしいものになるだろう。

 だが、日本がもっと普通の国だったらアジアは今より安定しているだろうが、第2次世界大戦の影は、日本の近隣諸国が、旧敵が今まさに平和主義を放棄しようとしているのではないかと心配することを意味している。安倍晋三首相は彼らの不安を和らげるよう努力すべきだ。ところが安倍首相はその代わりに、A級戦犯が合祀されている神社を参拝することを選んだ。

歴史の利用

 安倍首相が抱く野心は、20年間の停滞の後で日本を復活させることだ。首相はリフレと景気刺激策と改革を組み合わせた「アベノミクス」を使って経済を蘇らせようとしている。

 それと同じくらい重要なのは、日本の安全保障のために安倍首相が設計した見取り図だ。日本の懸念の一端は、台頭する中国が脅威になりかねないことだ。また、いざという時に、米国が同盟国である日本と地政学上の最大の焦点である中国のどちらかを選ばねばならないかもしれないという懸念もある。

 日本人の中には内々に、日本が自力で自国を守れた方が米国が日本の味方になってくれる可能性が高いと話す人もいる。