(英エコノミスト誌 2014年1月18日号)

日本と米国の関係は、中国の台頭と切り離せない。

 亜熱帯の海に臨む浜辺と珊瑚礁。海中では海牛目の珍獣ジュゴンがのんびりと海草(うみくさ)を食べている。そんな場所に、垂直離着陸機のオスプレイが耳をつんざく轟音を鳴り響かせて降りてくるところなど、とても想像できない。

 しかし、ここ沖縄本島東岸の名護市辺野古では、まもなく米国海兵隊の新しい広大なヘリポートの建設が始まるかもしれない。安倍晋三首相が2013年の年末に、沖縄県の仲井眞弘多知事から、辺野古で埋め立て作業を開始する正式な承認を勝ち取ったのだ。

普天間移設と靖国参拝

普天間移設で政府案を提示、「分散移転」など

米軍普天間基地の移設は長年の懸案〔AFPBB News

 2012年に安倍首相が政権の座に就いて以来、日本政府は17年間にわたって米国との安全保障同盟の悩みの種となってきた問題の解決を期待して、沖縄の当局者に働きかけてきた。

 沖縄県民は長い間、極めて多数の米兵が狭い沖縄県内に集中しているという事実に憤慨してきた。1995年に10代の少女が3人の海兵隊員にレイプされた後、米国は最も評判の悪い普天間基地を、代替滑走路が建設されしだい、ただちに閉鎖することに合意した。

 その時に提案された代替地が、都市から離れた辺野古だった。ここには海兵隊の基地、キャンプ・シュワブがある。

 県知事を含め、沖縄県民はのちに、普天間基地の沖縄県外への完全移設を求めた。米国は、アジアの安全保障政策に欠かせない沖縄県内の基地を最終的に失うことになるのではないかと恐れた。

 「米軍が駐留していると、植民地にされているような気がする」と、辺野古に近い名護市内に住む会社員のマツダ・カズヒコ氏は言う。だがその一方で、同氏は、多くの人々が基地からの収入に頼っていることも認める。

 この行き詰まりは、安倍首相が多額の政府資金と引き替えに仲井眞知事から着工承認を勝ち取ったことで打開されるかもしれない。安倍首相は2013年12月に、2021年まで毎年3000億円の沖縄振興予算を約束をしたのだ。

 もし打開できれば、日本の首相が成し遂げたことで、これほど米国を満足させるものはないだろう。日本では尖閣諸島、中国では釣魚島と呼ばれている沖縄県の島(日本の施政下にあり、中国が領有権を主張している)を巡って日本と中国の間で緊張が高まるにつれ、沖縄の戦略的価値は増大しているのだ。