(英エコノミスト誌 2014年1月11日号)

政治の混乱が経済の病理を露呈させた。

 2013年12月中旬に検察当局が政府に近いところで起きた収賄と汚職に対する一連の捜査を開始してから、事態が手に負えなくなりつつあるという感覚がトルコを支配している。

 たとえ正式な訴追と有罪判決が実現しなかったとしても、国内外の投資家を不安にさせるだけの材料が出てきた。この事件は、トルコの警察と司法の独立性、そして法律を執行する両機関の能力に深刻な疑問を投げかけた。

 トルコは突如として、同国が12年前に影の中に置き去りにしようとした国のように見える。インフレ率は7%を超えて推移しており、通貨は下落傾向にあり、経常収支の赤字は国内総生産(GDP)比7%前後となっている。民間貯蓄、外国からの投資、輸出はいずれも減少している。

利上げを嫌うエルドアン首相

 何をすべきなのか? どんな正統派エコノミストに聞いても、恐らく「まずは最も重要な金利を引き上げること」と言うだろう。

 昨年3月以降、トルコの中央銀行は頑なに翌日物貸出金利を8%以下に保ってきた(図参照)。コンサルティング会社イスタンブール・アナリティクスのムラト・ウセル氏の試算では、中銀の貸出金利は本来、優に11%あって然るべきだという。

 しかし、驚いたことに、金融政策において不可欠なこの手段は、トルコ中銀が現在使う用意がある手段ではない。中銀はリザーブ・オプション・メカニズム(ROM)として知られる別の手段の方を好む。ROMではトルコの銀行がトルコリラではなく外貨で預金準備の一部を保有することが許される。

 外国の資金がトルコへどっと押し寄せていた時には、これはリラに対する上昇圧力を和らげるいい方法だった。だが、リラが下落している今は、投資家を不安にさせる方法になる以外、まるで意味をなさない。

 苛立つエコノミストは、利上げを嫌う姿勢の原因は、イスラム穏健派のレジェップ・タイイップ・エルドアン首相にあると非難している。首相は、中銀の金利はインフレ率と同等であるべきで、それ以上であってはならないと発言している。トルコ中銀には、首相を否定できるほどの独立性はない。

 観測筋の大半が、エルドアン首相の利上げを嫌う姿勢は少なくとも3月30日に実施される地方選挙の後まで続くと予想している。