(英エコノミスト誌 2014年1月11日号)

ジャネット・イエレン氏がFRB議長の座を引き継ぐ準備をしている今、幸先は良い。

 ベン・バーナンキ氏が8年前に米連邦準備理事会(米国の中央銀行、FRB)の議長になった時、失業率はちょうど5%を下回ったところで、成長率は3.5%を記録し、インフレ率は安定していた。「経済活動の拡大は堅調なように見える」。バーナンキ氏が議長に就任する前日、FRBはこう宣言した。だが、表面下では、危機――そして1930年以降で最悪の不況――が醸成されていた。

 1月6日に上院によって来月バーナンキ氏の後継者になることを承認されたジャネット・イエレン氏にとって、状況はまるで逆だ。失業率は7%で、成長率は2%を超えるのに四苦八苦しており、インフレ率は低すぎる。だが、バラク・オバマ大統領の言葉を借りれば、水面下には「2014年はブレークスルーの年になり得る」という期待を抱かせる兆候が見える。

力強さを増す米国の景気回復

 ブレークスルーはもっと早くに始まっていたのかもしれない。急増する輸出と事務機器への投資は、2013年第4四半期に経済成長率が3%(年率)を超えた可能性があることを示している。

 そうであれば、2013年通年のGDP(国内総生産)は2.7%成長したことになる。FRBの予想と同じくらいGDPが伸びたのは、景気後退以降では初めてのことだ(図1参照)。

 中央銀行の占い師たちは、成長率が今年3%に達すると予想している。民間部門の占い師たちは、2.8%と言っている。近年の経験からすると、懐疑的にならざるを得ない。何しろ2008年以降ほぼ毎年、FRBと民間のエコノミストはどちらも景気の上向きを予想してきたが、結局期待外れに終わっている。

 だが、今年は失業率とインフレの見通しに関する両者の意見の相違が小さい。大手銀行のゴールドマン・サックスによると、こうした見解の一致は通常、正確性が増していることを示す前兆だという。

 楽観論を抱く主な理由は、財政政策が嵐並みに激しい向かい風から強風程度に和らぐことだ。

 2013年は、増税と連邦政府支出の削減で成長率が1.5ポイント押し下げられた。ゴールドマンの試算では、今年は財政による抑制効果が全体でわずか0.4ポイントになる見込みだという(図2参照)。

 実際には、それよりさらに小さいかもしれない。本誌(英エコノミスト)が印刷に回された時点で、議会は失業手当の給付延長をさらに3カ月間更新することについて議論していた。