(英エコノミスト誌 2014年1月11日号)

ギリシャの赤字削減という快挙は、さらに深刻な経済的・政治的弱点を覆い隠している。

「メイドに現金盗まれた」、通報した実業家に税務調査 ギリシャ

厳しい緊縮財政のおかげで、ギリシャのプライマリーバランスは黒字化したが・・・〔AFPBB News

 「カリ・フロニア」は、ギリシャ語の新年のあいさつだ。そのギリシャの2014年は、いつになく良いニュースの連続で幕を開けた。

 少し前まで、ギリシャは財政目標の未達、パニックに陥る市場、ユーロからの強制脱退の脅威という死のスパイラルに陥っていた。そして今、ユーロ圏初の、そして最も厄介な問題児は期待以上の実績を上げている。

 ギリシャは予定より早く、恐ろしいほどの赤字に終止符を打ち、プライマリーバランス(利払い前の基礎的財政収支)を黒字化した。「Grexit(グリグジット)」危機の最中には40%を優に超えていた10年物国債の利回りは8%未満に低下した。政府は2014年内に新たな国債の発行を計画している。

 外国の投資家の中には、エーゲ海に面したギリシャへの投資を検討し始める者も出てきた。競争力は回復しつつある。ギリシャは観光シーズンも絶好調だった。2014年は、6年間続いた景気後退の後、初めて国内総生産(GDP)が拡大するはずだ。

 かつて憤慨していたドイツ政府高官らも、今ではギリシャのアントニス・サマラス首相をギリシャ、さらにはユーロの救世主と絶賛している。この1月にギリシャは6カ月ごとに交代する欧州連合(EU)の議長国に就任したが、これを受けて8日にはEUの高官らが、ギリシャを葬り去るためではなく、褒め称えるためにアテネ入りした。

 ギリシャの救済プログラムを巡るEU高官の歓喜は無理からぬものだろう。しかし、ギリシャは今でも、経済的、政治的な問題を抱えている。

深刻な経済問題

 ギリシャは2007年以降、主に統治者と債権者双方の過ちによりGDPの4分の1を失った。労働者の4分の1以上が失業している。食料の無料配給所をあちこちで見かけるうえに、空きビルや空き店舗も多い。単位労働コストが低下したのは、賃金カットによるものであって、生産性向上の成果ではない。

 数字が不明瞭なエネルギー貿易と、変動の激しい観光収入(エジプトとチュニジアの混乱もあって浮上した)を除くと、ギリシャの輸出は低下している。これは警戒すべきことだ。スペイン、ポルトガル、アイルランドでは、労働コストが低下したおかげで輸出が増加した。

 ギリシャ国民の中には、信用不足が問題だと言う人もいる。一方、ギリシャの主な輸出市場であるEUの景気が後退しているからだと指摘する向きもある。