(英エコノミスト誌 2014年1月11日号)

各国政府は新たな民営化の波を作り出すべきだ。今回は、不動産を中心とする資産売却だ。

独立40年、「シーランド公国」を買いませんか? - 英国

各国政府は資産売却により、債務を減らし、経済の効率を高められるはずだ〔AFPBB News

 仮にあなたが、多額の負債を抱え、かつ大量の株式と十分に活用されていない不動産とを所有し、支出の削減に苦労しているとしよう――ちょうど、大半の欧米諸国政府のような状況だ。あなたは資産の一部を売却しようと思わないだろうか?

 政治家は様々な時に様々な理由で民営化を推し進める。英国では、1980年代にマーガレット・サッチャー元首相が、労働組合の力を抑制するのに民営化を利用した。後には、東欧諸国が指令経済を解体するためにこの方法を採用した。

 先進諸国が平時では過去最高の公的債務を抱える現在、民営化を実施する主な理由は、資金の調達にある。

眠ったままの財宝

 各国が所有する財宝のうち、最も高価なものは既に売り払われていると納税者は考えるかもしれないが、各国の戸棚にはまだ多くの財産が残されている。経済協力開発機構(OECD)諸国の国有企業には、およそ2兆ドルの資産価値がある。

 また、国が企業の少数株主になっているケースもある。加えて、地方自治体が公益事業など2兆ドル前後の資産を所有している。

 だが、真の財宝は、土地、建物、地下資源などの「非金融」資産だ。国際通貨基金(IMF)の推定によれば、そうした資産の価値は、先進国平均で国内総生産(GDP)の4分の3、OECD全体で35兆ドルに上るという。

 そうした資産の一部には、売却できないものや、売却すべきでないものもある。ルーブル美術館やパルテノン神殿、イエローストーン国立公園の売却など考えられない。そうした国の宝とも言うべき資産が全部でどれくらいの割合を占めているかは、政府の会計が曖昧なため知りようがない。

 だが、資産リスト全体を見れば、文化遺産的価値がほとんど、あるいは全くなく、売却可能な不動産が数多く含まれているのは間違いない。

 米国の連邦政府は、100万棟近い建築物(2011年の会計検査では、うち4万5000棟が、不要であるか、十分に活用されていないことが分かっている)と、国土の総面積のおよそ5分の1に当たる土地を所有し、その土地の地下には膨大な石油、天然ガスやその他の鉱物が埋蔵されている――米国の「水圧破砕(フラッキング)」革命は、これまでのところ、ほとんどが私有地だけで実施されている。