(英エコノミスト誌 2014年1月4日号)

レジェップ・タイイップ・エルドアン首相が率いるトルコ政権は、複数の重大な疑問を突きつけられている。

トルコ内閣、汚職疑惑で10閣僚交代 エルドアン首相は続投

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相はアタチュルク以来の偉大な指導者と思われてきたが・・・〔AFPBB News

 3年前、アラブの春が突如として中東を席巻した際、希望に満ちた民主運動家たちは手本を探し、穏健なイスラム教を繁栄と民主主義に結びつけているように見える国として、トルコに引かれた。

 不幸なことに、アラブ諸国はトルコがたどった道を進まなかった。その代わりに、トルコの方が汚職と独裁政治へと続く、昔ながらのアラブの道を歩み始めている。

 トルコでは2013年12月後半、違法な金の譲渡と建設業界から支払われたとされる賄賂に関する捜査の一環として、担当検察官が数十人の身柄を拘束した。容疑者の中には、与党・公正発展党(AKP)に近い実業家のほかに、官僚や政治家、3人の閣僚の息子が含まれている。

 この措置を受け、最も順調な時でさえ好戦的なレジェップ・タイイップ・エルドアン首相は激怒した。その怒りの火に油を注いだのは、次に拘束されるのが自らの息子の1人だとする報道だった。

 エルドアン首相は内閣を改造して自らに忠実な者で政権を固め、警察の捜査の支配権を握るべく働きかけ、身柄拘束を主導した検察官を汚職事件の捜査から外した。閣僚たちはこの一連の行為を「ソフトクーデター」の企てがあったためだとして正当化した。

 トルコにとって、これは気の滅入る事態だ。ほぼ11年間にわたり政権の座にいるエルドアン首相は、自らの命運と国の命運を混同するようになった。警察と司法に対して高圧的な戦術も辞さないその姿勢は、法の支配を弱めている。首相は自らの権力を抑えようとするものを一切許さず、これが民主主義の抑圧につながっている。

 つい最近まで、エルドアン首相は近代のトルコ共和国建国の父であるアタチュルク以来となるトルコの偉大な指導者として歴史に名を残すかと思われていたことを考えると、これは残念な話だ。

 同首相が政権の座にある間に、1人当たりの国内総生産(GDP)は実質ベースで2倍以上になった。トルコは近代化され、40年来の悲願である欧州連合(EU)加盟の協議ができるまでに改革が進んでいる。さらに軍は兵舎に押し込められ、これまでのようにクーデターによって政権が覆されることもなかった。

笑顔のない奉仕

 しかし今、エルドアン首相は数々の問題に直面している。

 経済では、成長率が2011年以前の半分にまで落ち込み、外国資本の流入が頼みの綱だ。汚職疑惑の発覚前でさえ、米国の超低利資金が途絶えると、経済は脆かった。株価はドル換算で2013年初夏の最高値から3分の1程度下落している。今後の行方を決めるのは政治次第ということになりそうだ。

 第2の問題は、エルドアン首相が軍と対決し、勝利を収めるにあたって威力を発揮した協力関係の解消にまつわるものだ。

 裁判所は以前、数百人の将校および彼らを支援する民間人に有罪判決を下したが、これには警察や司法機関に多くの支持者を持つ、謎に包まれたイスラム教集団の協力もあった。この集団を率いるフェトフッラー・ギュレン師は、現在ペンシルベニア州で亡命生活を送っている。