(英エコノミスト誌 2014年1月4日号)

2014年には、各国の反体制派政党が、第2次世界大戦以降で最も勢力を伸ばす可能性が高い。

 2010年頃から、米共和党内の反体制派であるティーパーティーが、米国の政治をかき乱してきた。ティーパーティーは寄せ集めの集団だが、そのメンバーのほとんどに共通する3つの信念がある。第1に、支配層のエリートは、米国の建国の理念を見失ってしまったという信念。第2に、連邦政府は肥大化し、それ自体のためにのみ機能する巨大な怪獣になってしまったという信念。そして第3に、不法移民は社会秩序に対する脅威であるという信念だ。

 このティーパーティー運動が核となり、米国の政治を二分する対立を引き起こし、予算と移民法の改革を難しいものにしてきた。

 今、これと似たようなことが欧州で起こっている。反体制派の政党が台頭しているのだ。彼らの台頭を懸念する主流派の政党と有権者にとって、ティーパーティーに対応してきた米国の経験は、有益な教訓を与えてくれる。

搾取され、怒りを抱く中間層

 ティーパーティーと欧州の反体制派政党の間には、大きな違いがいくつか存在する。ティーパーティーの各派閥は、米国の主流政党の内部で活動し、小さな政府を求める保守主義という昔ながらの伝統にルーツを有するのに対し、欧州の反体制派政党はそれぞれが小さく、反抗的な集団で、一部は極右を母体とする。

フランス極右「国民戦線」、ルペン氏3女が党首に

フランスの極右政党・国民戦線(FN)を率いるマリーヌ・ルペン氏〔AFPBB News

 欧州の人々は、米国人よりもずっと多様だ。例えばノルウェーの進歩党は、ハンガリーの暴力的なヨッビクとは大きく異なる。英国の独立党のナイジェル・ファラージ氏とパブの特別室にたむろする退屈な人々は、ドーバー海峡を挟んだ隣国フランスのマリーヌ・ルペン氏と国民戦線(FN)を疑いの目で見ている。

 しかし、欧州の反体制派政党と米国のティーパーティーの間には共通点もある。どちらも現状に怒りを抱き、今より単純だった時代を懐かしんでいる。

 また、双方とも移民に懸念を抱いている。彼らは搾り取られている中間層の中から生じてくる。この層は、社会の頂点に立つエリートと底辺にいるたかり屋が、一般労働者の負担でおいしい思いをしていると感じている。

 そしてどちらも、権力の中枢――ワシントンやブリュッセル―――が官僚で膨れ上がり、その官僚たちが人々の人生を管理する仕組みを作ろうとしていると信じているのだ。

 欧州の主流派の政治家は、反体制派政党を、抑制の利かない人種差別主義者やファシストと描写することによって、卑小化しようとしてきた、しかし、それはうまくいっていない。理由の1つは、反主流政党の多くが尊敬に値する存在になろうと、強い決意で努力しているからだ。

 英独立党と仏FN、そしてオランダの自由党(PVV)は、5月の欧州議会選挙で、それぞれの国の最多得票を獲得する可能性がある。フランスでは、学生の55%がFNへの投票を考えると述べている。ノルウェーの進歩党は、連立政権に加わった。スロバキアには、極右の知事が誕生した。

 ギリシャの急進左派連合(SYRIZA)やイタリアの5つ星運動など、左翼の反体制派政党も数に入れると、欧州の主流政党は第2次世界大戦以降で最も弱体化していると言える。