日本の豊かな森林が生み出すクリーンなディーゼル燃料

自衛隊の利用でコストを下げ産業競争力強化を

2013.12.31(火) 藤原 秀樹
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 そのうち年間に伐採が必要なのは、上記の計算のように8000ヘクタールのみであり、人工林の0.08%にすぎない。すなわち、人工林の0.08%を使用すれば、自衛隊の年間の燃料を森林のみで供給可能であり、植林により緑は保てる(何を植林するかの議論はあろうが)。

カーボンニュートラルな木質バイオ燃料

 以上の数字は、あくまで人工林に対するものである。森林総面積に対して必要な量は、年間0.03%であり、植林すればCO2削減への影響もミニマムである。それよりも、化石燃料を使わない燃料なので、カーボンニュートラルな効果の方が大きい。

 化石燃料によるCO2と異なり、木を切ったところに植林を続ける限り、二酸化炭素は増加しない。

 また、昨今話題になっている休耕田であるが、この面積が約22万ヘクタールである。この面積があれば、ほぼ自衛隊の必要とする量は、30年周期でまかなえるが、今から植林するのであれば、育つのを待つ必要がある。

 休耕田の総合的な使用法を考える一環で、必要があれば植林も選択の1つとすればいいだろう。

 木質バイオ燃料の製造は、実際にやってみなければコストをどこまで削減可能かは分からない。しかし、それよりも石油価格の変動によるコストへの影響の方が大きそうだ。

 まず、組織を作り、山林に道路を通し、刈り取り用や運搬用の重機を整備し、水利と排水の整備された工場内にバイオ燃料設備を建設しなければならない。国産の重機を使おうにも、ノウハウがないので最初は輸入品を使うしかないだろう。

 これらのことを私企業にすべて負担させるのは無理がある。最初は、補助金とバイオ燃料の引き取りを確約しなければ、商業ベースには乗らないであろう。

 コストダウンが進み、商業ベースに乗るようであれば、規模を拡大していけばよい。若干の赤字でも国産燃料として自衛隊には使ってもらおう。それくらいの予算増なら誰も文句は言わないはずだ。

 ほかにもクリアしなければならない問題があるだろうことは理解している。しかし、始めなければクリアすべき問題点も分からないことが多いのだ。これは、バイオ燃料生産のプロジェクトだからではない。初めてのプロジェクト一般に言えることだ。

バイオ燃料生産に適した条件を多く満たしている日本

 最後に、この連載の要点をまとめておこう。

1.フィッシャー・トロプシュ法による生産

 木材をガス化して燃料にする。基本的には第2次戦争当時からある方法である。現在ではガスを燃焼して電力にもできる。

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藤原 秀樹 Hideki Fujiwara

 

カーボンニュートラル資源研究所 代表

慶応義塾大学工学部卒・同大学院修了後、十條製紙(現・日本製紙)入社。

米国・ウェスタンミシガン大学留学。工学博士。

日本製紙・取締役・研究開発本部長、関係会社役員を歴任。

TAPPIフェロー(米国紙パルプ技術協会名誉会員)、TAPPI 塗工部門技術賞 (アジア初)

東京大学大学院農学生命科学研究科・農学部・非常勤講師、タイ国アジア工科大学院・客員教授

米国紙パルプ技術協会・国際研究管理委員会 委員(副委員長)
マルクス・ヴァレンベリ賞(スウェーデン)選考委員会・アジア地区大使を経て、現在は選考委員会のシニアアドバイザー

エネルギー戦略

20世紀の社会を築き、支えてきた石油。しかし世界的な環境意識の高まりの中で、石油依存社会の限界が明らかになりつつある。石油はいまどうなっているのか。石油社会の次を築き、新世紀を切り開くイノベーションは何か。その最先端の姿をリポートする。

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