(英エコノミスト誌 2013年12月21・28日合併号)

現政権下では、ウクライナは獲得する価値のない戦利品かもしれない。

ロシア、ウクライナに金融支援 ウクライナの親欧州派は反発

12月17日、クレムリンで行われた外交文書の署名式に出席したロシアのウラジーミル・プーチン大統領(右)とウクライナのビクトル・ヤヌコビッチ大統領〔AFPBB News

 ウラジーミル・プーチン大統領がまた勝利を収め、西側がまた敗北した――。モスクワや欧米諸国の多くの首都では、ロシアと欧州連合(EU)の間に位置するウクライナ争奪戦の結果がそう描かれている。

 12月17日、プーチン氏とウクライナのビクトル・ヤヌコビッチ大統領の会談後、ロシアはヤヌコビッチ氏がEUとの連合協定締結を見送った見返りとして、ウクライナに150億ドルの融資を行い、1000立方メートル当たりのガス価格を400ドルから268ドルに引き下げることに同意した。

 当然のことながら、ヤヌコビッチ氏にとっては、窃盗や暴力をごまかす政治的な大義名分とお金の組み合わせは、法の支配や自由貿易、競争、改革というEUのオファーよりも魅力的だった。

レイムダックと化したヤヌコビッチ大統領

 だが、より詳しく検証してみると、プーチン氏の勝利と欧州の敗北は、そこまで明白には見えなくなる。恐らくヤヌコビッチ氏はそもそも、EUとの連合協定に署名する気などなかった。見返りがなければ、間違いなく署名しなかっただろう。

 ヤヌコビッチ氏はその気があるように振る舞うことで、プーチン氏と駆け引きすることができた。プーチン氏は結局、ヤヌコビッチ氏がユーラシア関税同盟に加盟する文書に署名しないうちに資金を提供することに同意した。

 ヤヌコビッチ氏、プーチン氏、そしてEUの指導者の誰一人として、ウクライナ国民の反応を考慮していなかった。この4週間、市民は大挙して街頭に繰り出してきた。自分自身の利益と引き換えに国の将来を差し出したヤヌコビッチ氏に激怒した市民は、同氏が学生に対して暴力を用いると、一段と勢いを増した。

 EUとの連合協定の締結を求め、当初小さな規模で始まった運動は全国的な覚醒へと発展し、旧ソ連圏の泥棒国家を拒絶する声が高まった。

 12月11日にヤヌコビッチ氏が街頭からデモ隊を排除する試みに失敗すると、バリケードはより高く積まれ、マイダンの士気が高まり、ウクライナのエリート層内の亀裂が鮮明になった。この危機でヤヌコビッチ氏はレイムダックと化した。