(英エコノミスト誌 2013年12月21・28日合併号)

人々の飲酒量は減っているが、危険な飲酒が増えている。政策立案者はアルコールの値上げを検討しており、業界は頭を悩ましている。

未成年の飲酒、若年性認知症に関連性 研究

責任ある飲酒は他者に危険をもたらすことはないが・・・〔AFPBB News

 マドリードの中心にあるスペイン広場には昼間、観光客が押し寄せ、「ドン・キホーテ」の作者ミゲル・デ・セルバンテスの像と一緒に写真を撮っている。

 ところが夜になると、スペイン文化の新たな側面が顔を出す。若者がたむろし、ウイスキーやウオツカをファンタレモンで割ったものをペットボトルでがぶ飲みしているのだ。

 地面には空のボトルが散乱している。近くでは、3人の若い男が道路に吐く友人を介抱していたりする。

 かつてこのような酒盛りはスペインでは珍しいことだった。酒は食事の時にしか飲まないという地中海の飲酒文化が浸透していたためだ。それが変わろうとしている。スペインをはじめとする多くの先進国で、飲酒問題が――一部の層で――深刻化している。

 世界保健機関(WHO)によれば、1990年以降、全世界の1人当たりアルコール消費量は一定の水準で推移しているという。全人口の約半数は酒を口にしない。しかし、飲酒する人の飲み方は危険なものになっている。政策立案者はこの問題への対応を模索中だ。例えば、スコットランドでは、アルコール1単位当たりの最低単価の設定を検討しており、大きな注目を集めている。

 スペインでは、1人当たりの飲酒量は1975年がピークだったものの、「botellón(ボテロン、「大瓶」の意)」にふける若者が目立ってきた。ボテロンとは、酔っ払うために野外で飲酒することだ。

 スペインと同じく、伝統的に適度な飲酒の習慣があったフランスでも、同様の傾向が見られる。アルコールの過剰摂取による入院が過去3年間で30%増加し、年間40万人に達している。大酒を飲むことが珍しくなくなり、7月には「beuverie express(ブブリエクスプレス)」というフランス語の正式名称ができたほどだ。先進国の大部分では、(若者に限らず)1回に飲む量が増えている。

危険な飲酒の増加がもたらす様々な影響

 責任ある飲酒が他者に危険をもたらすことはほとんどない。しかし、危険な飲酒の増加は様々な影響をもたらす。

 酒の飲み過ぎに起因する死者は、1990年には75万人だったが、2011年には250万人まで増えた。全世界の死者数の4%近い数字だ。アルコールは時間をかけて体を蝕むが、1回の大量飲酒で病院送りになることもある。例えば、英国では1度の飲酒で入院した人が、2003年から2010年までの間に倍増した。