(英エコノミスト誌 2013年12月7日号)

ウクライナ情勢が緊迫し、危険な状況にある。西欧と米国は行動を起こさなければならない。

元大統領ら3人が反政権デモ支持を表明、ウクライナ

12月4日、ウクライナの首都キエフの独立広場で行われた反政府デモで、バリケードの上で同国の国旗を掲げる参加者〔AFPBB News

 同じ場所。同じスローガン(「泥棒は出ていけ!」)。同じ凍てつく天気。そして、同じ悪役――ウクライナの悪党のようなビクトル・ヤヌコビッチ大統領だ。

 キエフで続く抗議行動の参加者は、2004年のオレンジ革命の時に、ヤヌコビッチ大統領が勝つよう不正操作された選挙の無効を求めたのとちょうど同じように、大統領の退陣を求めている。

 外から見れば、今回の騒動は前回の再演にすぎないと思いたくなるかもしれない。前回と同じように、恐らく平和な幕引きを迎える、と。しかし、今回の対立は前回よりはるかに緊迫している。西欧諸国がのんきに情勢を傍観するには、あまりに危険すぎる状況だ。

オレンジ革命とは似て非なる抗議運動

 最も大きな違いは、関係各陣営すべてのリーダーシップだ。2004年のオレンジ革命には明確な指導者がおり、確固とした目的があり(選挙のやり直し。この目的は果たされた)、強力な規律があった。オレンジ革命によって政権を奪取した指導者たちの信頼が地に落ちたこともあり、今回の抗議行動にはすべてが欠けている。

 抗議行動のきっかけは、国民の大部分が支持する欧州連合(EU)との貿易協定を見送るというヤヌコビッチ大統領の決断だった。ところが、怒りの矛先はそれだけにとどまらず、腐敗した機能不全の支配層全体にも向かっている。

 この正当な怒りに便乗しようとしている野党も、抗議者たちをコントロールする力はソーシャルメディアに及ばない。デモを解散させようとしてもできないのだ。

 政治体制も以前とは危険なほど異なる。2004年には、退任が決まっていた策略家のレオニード・クチマ大統領が最終的に仲立ちを買って出た。

 これに対し、ヤヌコビッチ大統領は妥協を嫌い、政治は勝者がすべてを得るもの、生きるか死ぬかの戦いと考えている。この考え方は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に近い。プーチン大統領は、ヤヌコビッチ大統領を丸め込んでEUの提案を拒絶させた張本人だ。