(英エコノミスト誌 2013年11月30日号)

米国最大の州は今、米国最大の貧困問題を抱えている。

 カリフォルニア州リバーサイドにあるフードバンク「セカンドハーベスト」の開発ディレクターとして、トレイシーリン・シェリット氏は苦労話をさばくことに慣れている。だが最近は、そうした話が予想だにしないところから舞い込むことがあるという。

 リバーサイド郡東部の比較的裕福な観光都市パームスプリングスに住むある年配の女性が最近、助けを求めて電話をかけてきた。感謝祭のために家族が訪れることになっているが、料理を振る舞うお金がないというのだ。

 リバーサイド郡は、住宅バブル崩壊で打撃を受けた、ロサンゼルスの東に広がる広大な地域「インランド・エンパイア」の一部だ。インランド・エンパイアのようなカリフォルニア州内陸地域と、その北に位置するサンホアキン・バレーの農業地帯は長年、雇用、所得、教育などの指標で沿岸部に後れを取ってきた。

 最近、州のお偉方が集まったカリフォルニア経済サミットでは、「2つのカリフォルニア」の話題に終始した。つまり、裕福な沿岸部と苦しんでいる内陸部だ。サンバーナーディノやフレズノといった街には貧困と悲しみが漂っている。

沿岸部も実は貧困率が高かった

 だが、最近発表された2つの報告書は、カリフォルニア州沿岸部の貧困が、主に高い住宅費のせいで大幅に過小評価されてきた可能性があることを示唆している。

 4人家族で2万3492ドルという金額を貧困ラインに定めている米国勢調査局の従来の評価基準は、税額控除などの現金以外の恩恵や生活費の地理的格差を考慮していない。スタンフォード大学の貧困・不平等研究センターとシンクタンクのカリフォルニア公共政策研究所(PPIC)の最近の調査報告によれば、そうした要素を含めると、ロサンゼルス郡(人口では米国で断トツに大きな郡)の貧困率は18%から27%に上昇する。

 それ以外のほとんどの都市でも貧困率が大幅に上昇し、サンフランシスコのそれは2倍近くに跳ね上がる。

 この計算方法では、カリフォルニアの貧困率は22%に上昇する。似たような手法を用いた国勢調査局の「補足的貧困基準」は23.8%を示しており、全米で最も高い(従来の算出方法を用いた場合は、カリフォルニア州は14位)。米国最大の州では、800万人以上の市民が日々のニーズを満たすのに苦労しているわけだ。そして、子供の4分の1以上が貧困の中に暮らしている。

 だが、カリフォルニア州はあまりに長い間、財政難に頭を悩ましてきたため、貧困問題はなおざりにされている。「貧困が問題であることは誰もが知っている」。インランド・エンパイアのエコノミスト、ジョン・ヒュージング氏はこう言う。「けれども誰も話題にしない」