販売期限切れの食品を売るスーパーの狙いとは?

「食品ロス」は減らせるのか

2013.12.06(Fri) 白田 茜
筆者プロフィール&コラム概要

 卸からメーカーへの返品理由は、賞味期限とは別に独自に流通業界が設定した「納品期限切れ」(32%)と、新商品の販売や規格が変更されたために店頭から撤去された「定番カット」(32.8%)だという。小売では汚破損(25.1%)などが挙げられている。

「3分の1ルール」が食品ロスの原因に

 流通業界の「納品期限」というルール、一体何なのだろうか。

 日本の食品業界には、製造から賞味期限までの期間の3分の1を過ぎると納品できない「3分の1ルール」と言われる商慣習がある。これは、賞味期限の期間を3分の1ずつに区切り、最初から3分の1までの期間に小売店に納品し、残りの3分の1の期間を過ぎると返品されるルールのことを言う。

 この商習慣は、少しでも新しい商品を望む消費者の“鮮度志向”に応えるとして、大手スーパーがメーカーや卸に要請し、1990年代に広がったという。

「3分の1ルール」のイメージ (参考:経済産業省作成資料をもとに筆者作成)

 だが、国際的に見ても厳しいルールだ。日本有機資源協会の「平成24年度食品事業者環境対策推進支援事業報告書」によると、米国では賞味期限までの期間のうち「2分の1」までは販売できる。フランス、イタリア、ベルギーでは「3分の2」、さらに英国では「4分の3」が一般的であり、日本より緩やかだという。日本は厳しい基準を課しており食品ロスが発生しやすい構造になっているのだ。

ようやく動き出した食品業界

 この商慣習を見直す動きが出てきた。メーカー9社、卸売業3社、小売業4社が連携し「食品ロス削減のための商慣習検討ワーキングチーム」が2013年10月に発足した。食品ロス発生の原因となりうる商慣習について、フードチェーン全体で話し合い、実態や問題を共有するとともに解決を目指すという。

 ワーキングチームは、これまで、賞味期限が比較的長い加工食品メーカー、卸、小売にアンケート調査やヒアリング調査を行い、「中間とりまとめ」を発表した。

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1978年佐賀県生まれ。佐賀県庁で食品のブランド化に関わる。その後、大学院で農業政策や食品安全に関するリスクコミュニケーションを学ぶ。食品コンサルタント会社を経て、現在は社会的関心が高い科学ニュースについて専門家のコメントを収集しジャーナリストに提供する活動をしている。関心のあるテーマは、農業、食品流通、食品安全、リスクコミュニケーション。


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