(英エコノミスト誌 2013年11月23日号)

マイクロソフトにデバイス部門を売却した後、かつて世界最大の携帯電話メーカーだったノキアは自己改革している――いま再び。

マイクロソフトがノキアの携帯電話事業を7000億円超で買収

これまで何度も生まれ変わってきたノキア〔AFPBB News

 サムリ・シモヨキ氏は、結果が形式的なものに過ぎないことを知っていたが、それでも「ノキアの株主というよりフィンランド人として」発言したいと思っていた。

 ヘルシンキ出身の弁護士であるシモヨキ氏は、11月19日に開かれたノキアの臨時株主総会に出席した3200人の1人だった。

 シモヨキ氏は、総会の唯一の動議だった、ノキアの携帯電話部門を現金38億ユーロ(54億ドル)でマイクロソフトに売却するという提案に反対票を投じた。99%を超える票は賛成に投じられた。2014年初めに手続きが完了すると、かつて世界最大で今なお世界第2位の携帯電話メーカーであるノキアは、同事業から撤退する。

 ノキアはこれまでも自己改革してきた。最初は製紙会社として創業した。1865年のことだ。製紙から発電に転換し、ゴム製品とケーブルに手を広げ、そして、1980年代には欧州の売れ筋商品となったテレビに事業を拡大した。だが、家電部門は勢いを失い、大幅な赤字を出し、ゴム製品とケーブルと同様、1990年代に売却された。

 その当時、携帯電話はノキアの未来だった。携帯電話は間もなくノキアの過去になり、3万2000人のノキア社員――元CEO(最高経営責任者)のスティーブン・エロップ氏を含む――はマイクロソフトの従業員になる。

 かつてマイクロソフトの人間だったエロップ氏は、2011年にノキアの携帯電話プラットフォームが「燃えている」と宣言し、代わりにマイクロソフトのプラットフォームに飛び移った。エロップ氏は間もなく、古巣の新しいトップになるかもしれない。

 赤字のデバイス部門と別れた後にかなり縮小するものの、ノキアの次の輪廻は決して取るに足らない存在ではない。まだ5万6000人の従業員がおり、そのうち6000人以上がフィンランド国内にいる。

新生ノキアの事業

 事業売却による資金、さらにはマイクロソフトとの10年間のライセンス契約から得る16億5000万ユーロと同社から得る15億ユーロの融資のおかげで、ノキアのバランスシートは以前より強固になり、新たなスタートを賄う豊富な現金を持つ――もっとも、ノキア株を保有するヘッジファンドのサードポイントは、その多くを株主に還元してほしいと話している。

 9月初めに事業売却が発表されてから、ノキアの株価は2倍に高騰し、1株6ユーロに迫っている。