(英エコノミスト誌 2013年11月23日号)

バラク・オバマ大統領は、どうすれば多少なりとも信頼を取り戻すことができるのか。

オバマ米大統領、APEC欠席へ 政府機関一部閉鎖で

国内外でバラク・オバマ大統領に対する信頼が大きく揺らいでいる〔AFPBB News

 米国大統領が握る最も重要な権力は、拒否権でもミサイル発射権限でもない。人々を圧倒する説得力だ。米国大統領が語れば、世界が耳を傾ける。だからこそ、バラク・オバマ大統領にとって、信頼性が問題になるのだ。

人々がオバマ大統領の言葉を信じなければ、ことを思い通りに進める大統領の力は失われていく。実際、最近の数々の事態は、オバマ大統領に対する信頼を大きく揺るがしている。

 国内では、医療保険改革の混乱のせいで、ほかのあらゆる事案を片づけるのが困難になり、国外では、オバマ大統領は弱腰で無関心と見なされ、同盟国の不満を招いている。

 オバマ大統領に対する非難には、フェアでないものもある。本誌(英エコノミスト)の米国外交に関する特集でも触れているように、オバマ大統領は前任者から2つの戦争を悲惨な状態で引き継いだ。オバマ大統領の1期目は、過去80年で最悪の景気後退のさなかにスタートした。今年10月に政府機関の一部閉鎖を招き、無謀にもデフォルト(債務不履行)と戯れた共和党は、米国政治の混乱に大きな責めを負う。

 だが、すべてが大統領以外の誰かのせいだという言い訳は、説得力を失いかけている。オバマ政権下の米国は、まるで舵取りのいない船のようだ。その力は浪費されている。もっと積極的に課題に取り組む大統領なら、もっとうまく共和党に、そして世界に対処できているはずだ。

信頼できる保険加入システム

 オバマケアの大混乱は、オバマ大統領の力を著しく弱めてしまった。オンラインでの医療保険加入手続きがスタートした10月1日以前、オバマ大統領は無邪気にも、すべてがうまくいっていないことに気づいていないようだった。9月26日には、保険加入サイトの利用は「実にシンプル」だとメリーランド州の有権者に説明した。「アマゾンでテレビを買うのと同じだ」と。

 残念ながら、そうではなかった。多数の国民がサイトへのログインを試みたが、ログインできたのはごく少数だった。既に明らかになったように、サイトは前もってきちんとテストされていなかった。医療保険改革はオバマ大統領にとって最重要の国内改革でありながら、明確な責任者が存在しなかった。

 重要な仕様が、最後の最後になってから変更された。請負業者はサイトの準備が整っていないと警告したが、その警告は大統領執務室には届かなかった。政府の大規模なITプロジェクトがつまずくのはよくあることだが、ここまで派手に転ぶのは珍しい。

 オバマケアが2010年に米国議会で成立した時、本誌はこの政策を支持した。法律が複雑すぎ、医療費インフレの抑止にほとんど効果がない点は懸念していたが、数千万人の保険未加入者に医療保険を拡大できるのは確かだ。全国民に保険加入を義務づけ、未加入者には罰金を科すという基本方針は健全だ。