(英エコノミスト誌 2013年11月16日号)

日本の製薬会社が貧しい人たちの病気を治すことに投資する。

 日本の製薬会社は独創性に溢れた集団だ。2005年から2008年にかけて、日本より多くの新薬を開発したのは、米国と英国の製薬業界だけだった。だが、貧しい人たちの病気を治すことにかけては、日本企業の実績はそれほど良くない。

 非営利団体(NPO)のアクセス・トゥー・メディスン・ファウンデーションは、発展途上国の患者のために尽くす製薬会社の努力を追跡している。製薬大手20社のランキングでは、最下位6社のうち4社を日本企業が占めている。

 そうした状況が変わるかもしれない。11月8日、グローバルヘルス技術振興基金(GHIT)はマラリアと結核とシャーガス病(不気味で人の血を吸うサシガメを介して広まる病気で、死に至る可能性があり、多くの場合、衰弱をもたらす)の治療を促進させるための初の助成金交付を発表した。今年設立されたGHITは官民パートナーシップで、アステラス製薬、第一三共、エーザイ、塩野義製薬、武田薬品工業という日本の製薬会社5社が参加している。

 低所得国の医薬品へのアクセスを制限しているという製薬会社に対する批判は千年紀の変わり目にピークに達した。人の命を救うHIV治療薬のメーカー数社が、アフリカの患者に手頃な価格で薬を提供することを拒んだことがきっかけだった。その結果生じた激しい憤りを受け、製薬会社は方針の見直しを余儀なくされた。現在、大半の大手医薬品メーカーは自社を、ともに伝染病と戦う盟友として売り込んでいる。

GHITが試みる新たなモデル

 それは時として、薬を寄付したり、ジェネリック医薬品のメーカーへの技術ライセンスの供与を意味する。また、それ以外のケースでは、新たなワクチンや治療の共同開発を意味する。

 例えば、アクセス・トゥー・メディスン・ファウンデーションの指標で1位にランクされている英グラクソ・スミスクライン(GSK)は来年、規制機関にマラリアのワクチンの認可を求める。ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団(同財団はGHITファンドのパートナーでもある)がこの新薬の開発に資金を提供した。

 GHITファンドでは、日本企業5社は少々異なるモデルを試している。各社は5年にわたってそれぞれ年間100万ドルを拠出する。ゲイツ財団と日本政府からの投資と合わせると、ファンドは1億ドルを超える。

 この資金は、日本と外国の機関のパートナーシップに分配される。例えば、大阪大学とウガンダのグル大学の研究員たちは、提案されている別のマラリアワクチンの有効性を高めるために73万5000ドルを受け取る。