(英エコノミスト誌 2013年11月9日号)

英国は、心地よい孤立か、緊張感のある開放性かの選択を迫られている。選ぶべきは開放性だ。

英国旗でいっぱいの目抜き通り、ロイヤルウエディングで

英国が岐路に立っている〔AFPBB News

 先行きが最も不穏な欧州の国はどこかと聞かれれば、多くの人は経済の崩壊に苦しむギリシャかイタリアを挙げるだろう。フランスと答える人も少しはいるかもしれない。何しろフランスは、国家主義的モデルの失敗をいまだに受け入れられずにいる。

 英国を選ぶ人はほとんどいないだろう。英国はこれまで、比較的うまく危機を切り抜けてきたからだ。

 だが、世界における英国の地位は、過去数十年に比べて不確かなものになっている。2014年5月の選挙では、有権者が欧州連合(EU)を毛嫌いする英国独立党(UKIP)の一団を欧州議会に送り込む可能性が高い。

 さらに9月には、スコットランドで独立を巡る住民投票が控えている。2015年には総選挙がある。そして2017年末か、場合によってはそれより前に、EUからの離脱か残留かを問う国民投票が実施される予定だ。

 そのすべてをくぐり抜けた後の英国は、今よりも小さく、内向きで、世界にあまり影響力を持たない国になっているかもしれない(政治が分裂している可能性もある)。一方、今より効率化し、自国のアイデンティティーと欧州での地位に自信を持った外向きの国になっているかもしれない。この2つのシナリオを、それぞれ「リトルイングランド」と「グレートブリテン」と呼ぶことにしよう。

信じ難いほど縮小する国

 多くの意味で、現時点の英国には良いことがたくさんある。ユーロ圏の経済が停滞しているのをよそに、英国は力強く低迷から脱しつつある。政府は危機を利用して無駄を刈り込んだ。

 英国が長く訴えてきた、EUの機能を縮小し、官僚主義を排し、企業の負担を緩和すべしという主張を、欧州大陸諸国がようやく受け入れ始めている。英国にとって大きな利益となる、サービス分野の単一市場の深化さえ話題に上っている。

 ロンドンには相変わらず、才能ある人材や資本や企業が流れ込んでくる。国民1人当たりで見た場合、英国が外国から集める直接投資は先進国平均の2倍近い。その背後にあるのが、よそ者をオープンに受け入れてきた英国の歴史だ。その伝統の大部分は、経済危機の間も生き続けてきた。

 英国人は移民を敵視しているものの、新参者を社会に同化させ、生産性の高い一員に変えることには優れている。EU加盟国のうち、学校の中退者数が、もともとの自国民よりも移民の方が少ないのは2カ国だけで、そのうちの1つが英国だ(英国で最も憂慮されるのは、貧しい白人英国人が多い地区だ)。