(英エコノミスト誌 2013年11月2日号)

米国はスパイ行為をやめないし、やめるべきではない。だが、信頼を取り戻すためには、より明確な焦点とより厳しい監視が必要だ。

オバマ米大統領、ドイツ入り 再び中東和平訴える

米NSAがドイツのアンゲラ・メルケル首相(右)の携帯電話を盗聴していたことは特に大きな問題となっている〔AFPBB News

 スパイ行為の第1のルールは、見つからないようにすることだ。外国の秘密を盗むことには、必然的に嘘をつくことや法律を破ることが含まれる。

 米国は今、欧州で2種類のスパイ行為を行っていたことがばれたようで、ひどい有様に見える。

 最初の容疑は、米国がドイツのアンゲラ・メルケル首相――米国が盗聴してきたとされる最大35人の世界の指導者の1人――の携帯電話を盗聴したことだ。2つ目の容疑は、米国が欧州市民の通信に関する膨大な量の情報を収集していることだ。あとで針を見つける必要が出てきた場合に備えて干し草を集めているというのだ。

 どちらのニュースも、ロシアに亡命した米国国家安全保障局(NSA)の元契約職員、エドワード・スノーデン氏によってもたらされたものだ。

 機密漏洩は、特にゲシュタポや旧東独のシュタージを連想するドイツ人の間で強い怒りを引き起こしている。フランスやスペインでも多くの人が、米国のような親密な同盟国が自分たちに対してあえてスパイ行為を行うことに憤慨している。

 バラク・オバマ米大統領は、NSAの局員たちが自分の友人であるドイツ首相を盗聴していることを知らなかったと話している。早い段階のリークでは、NSAがスパイ行為を容易にするために商業暗号を弱めていたことが示唆されていた。今では、NSAはグーグルその他の大手米国企業が運営する「クラウド」にハッキングしたと見られている。

 米議会における主なNSA支持者の1人、ダイアン・ファインスタイン議員は、スパイを制御できないことに不安を覚え、大統領自身の審査と並行して調査を実施すると約束している。

 不信感が高まっているため、報いは不可欠になっている。NSAは自分自身のために、新たな指導者と適切な監視の下で再スタートを切る必要がある。だが、議会もホワイトハウスも、NSAが守らなければならない米国民のために、報復という危険なムードに屈してはならない。

孤独な要塞

 まず、スノーデン氏の証拠の一部は根本的に間違って解釈されていることが分かっている。情報収集の多くは、実際には欧州のスパイによって欧州以外の人たちに対して行われたもので、その後、NSAに情報が渡された。

 こうした連携は、しばしば米国人が調査するのに最も相応しい立場にあるイスラム過激派のテロから西側を守るためだった。