(英エコノミスト誌 2013年10月26日号)

裏庭に本物の債務危機を抱える米国は、エーゲ海での欧州の愚行から学ぶことができる。

米領プエルトリコのサンフアン港(写真はWikipediaより

 米ワシントンで連邦議会とホワイトハウスが予算を巡る論争を再開するまで長くはかからない。

 しかし、バラク・オバマ大統領と野党・共和党は、人為的な債務危機を再度生み出す前に、南東方向に1500マイル(約2400キロ)離れた場所で起きている真の債務危機に多少注意を払うべきだ。

 米領プエルトリコはギリシャ流の破綻の危機に見舞われている。プエルトリコの債務残高は地域の国内総生産(GDP)の7割に相当する700億ドルに上り、全米50州のどの州よりも債務負担が重い(プエルトリコは厳密に言えば州ではないが、債券は州政府債のように扱われている)。

 プエルトリコはデフォルト(債務不履行)に向かっているのではないかと投資家が懸念するなかで、プエルトリコ債の利回りは10%まで急上昇した。

ギリシャとよく似たプエルトリコの危機

 ギリシャのように、プエルトリコは自分たちより豊かで生産性の高い隣人との通貨同盟に縛り付けられた、慢性的に競争力を欠く地域だ。この島の経済もアテネと似た、大規模で非効率な公共部門に支配されている。

 そしてギリシャの場合と同じように、プエルトリコの無秩序なデフォルトがきっかけとなり、投資家が一斉に逃げ出して4兆ドル近い規模を持つ米国の州債・地方債市場で借り入れコストが上昇し、はるかに大きな危機が生じる恐れがある。

 だが、ギリシャとの類似は役にも立つ。ギリシャの経験は、米国が何をしてはいけないのかを教えてくれるからだ。

 プエルトリコは何十年もの間、連邦政府の補助金に支えられてきた。米国民の平均と比べてかなり貧しいプエルトリコ人は、年金からフードスタンプ(食料費補助)まで、多くの財政移転にあずかってきた。