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デジタルマーケティングに見る日本の弱点

ソーシャル化する社会が世界を大きく変え始めた~第43回

2013.10.31(木) 小川 和也
    http://goo.gl/r42g6i
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 世界最高峰のキャンペーンを表彰する「DMA国際エコー賞」注1を、昨年手掛けた「100万人でつくろう元気のうた」が受賞し、10月15日に米国シカゴで行われた授賞式に参加してきた。

注1:米ダイレクトマーケティング協会(DMA)が主催する「DMA国際エコー賞(DMA International Echo Awards)」は、1929年に開始された、世界中のレスポンスマーケティングキャンペーンの中から、戦略、創造性、業績のすぐれた企画を表彰するアワード。マーケティング戦略やクリエイティブ戦略が優れたダイレクトマーケティングの作品に与えられる賞で、世界で最も受賞が難しいとされている。

生活者を巻き込み、大きな成功を収めたキリンのキャンペーン

 「100万人でつくろう元気のうた」は、キリンの健康プロジェクト「キリン プラス-アイ」注2の認知とブランド価値を高めることを目標に、2012年3月~2013年3月まで展開された。

注2:おいしさに「健康」をプラスした商品を展開するキリンのプロジェクト。飲料に健康成分「オルニチン」を配合するなど、普段の食生活では摂りづらい健康素材を無理なくプラスできる商品を提案している。

 おいしさに「健康」をプラスするという同社の取り組みをたくさんの生活者に伝えて発展させるために、「人々が元気(=健康のひとつの象徴)になる1曲のうたを生活者と一緒につくる」という企画を基軸に据えた。うたを通じて、「元気=健康」の価値を多くの人に伝える狙いだ。

 また、キャンペーン全体を通じて、キリン プラス-アイのブランドマークを、応募や投票する際の様々なインターフェイスに使用することで、「キリン プラス-アイ=元気を与えるもの」という印象を育てていった。

 具体的には、「元気をもらったひとこと」(歌詞の素材)、「元気のポーズ写真」(ミュージックビデオの素材)、「元気のダンス動画」(ミュージックビデオの素材)の投稿、それら投稿への人気投票など、100万人分の“元気のアクション”を集めることを掲げ、特設サイトや全国各地でのイベントを通じて展開した。

 特にソーシャルメディアの活用を重んじ、そこから多くの参加者と広がりを生み出した。

 集まったそれらのアクション素材をベースに、この企画に賛同いただいた有名アーティストにより「元気のうた」が仕上げられ、出来上がった歌をみんなで歌うことでさらにみんなが元気になることを目指した。

 キャンペーンを開始してから約6カ月間で目標の100万人分のアクションを達成し、その後もクチコミで広まり、翌年3月の終了時には約180万元気を記録した。

 このように完成した「元気のうた」はCDとしても発売され、Ustreamでも特別公開して行われた楽曲発売記念特別ライブでは、数千人がライブを鑑賞し、クライマックスを迎えた。

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Kazuya Ogawa

アントレプレナー / デジタルマーケティングディレクター / 著述家
西武文理大学特命教授

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慶應義塾大学法学部卒業後、大手損害保険会社勤務を経て、2004年グランドデザイン&カンパニー株式会社を創業、代表取締役社長に就任。数々のITベンチャービジネスや、デジタルマーケティングディレクターとして大手企業や行政、アーティスト等の先端的デジタルマーケティング事例を数多くつくり続けている。

ビジネスだけではなく、デジタルと人間や社会の関係の考察と言論活動を行っており、著書、寄稿、講演、メディア出演多数。主な著書に、「デジタルは人間を奪うのか」(講談社現代新書)、日本で初めての概念をテーマとした「ソーシャルメディアマーケティング」(共著・ソフトバンククリエイティブ)、「ソーシャルメディア維新」(共著・毎日コミュニケーションズ)、「Facebookマーケティング」(共著・ソフトバンククリエイティブ)、「ソーシャルブランディング」(共著・インプレスジャパン) など。

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