今週は再び北京で原稿を書いている。10月25日の日中関係シンポジウムに参加するため、前日夕刻の成田・北京便に飛び乗った。主催は中国社会科学院日本研究所、元々は8月中旬に予定されていたものだ。今回は中国側が一度はキャンセルしたこのイワク付き国際会議を取り上げる(文中敬称略)。

8月15日以来の北京

隔日で奇数・偶数ナンバーを運転禁止に、大気汚染に北京が新規制

スモッグにかすむ北京〔AFPBB News

 考えてみたら、2カ月前にも当地に来ていたことを思い出した。そもそも、この社会科学院主催シンポジウムは当初8月に予定されていたものだ。

 日中関係が2カ月ほどで好転するはずもなく、厳しい状況は変わっていない。その中で会議を開催した日本研究所の勇気(?)には敬意を表すべきか。

 とは言っても、実は明日から、より大規模な日中シンポジウム「東京―北京フォーラム」が開かれると聞いた。確か日本側主催者は言論NPOだったと思う。同フォーラムも8月にはキャンセルになっていたので、今回の一連の行事日程は恐らく中国政府側が熟慮の末に設定したのだろう。

 それでも日本研究所に対する筆者の敬意は変わらない。

 今回のお題は「継承条約精神 構築新型関係」だったが、興味深いのは後半の「新型関係の構築」だ。「日中新型大国関係」となっていないところが恐らく最大のミソだろう。「大国」をあえて入れなかったところに、筆者は関係者の苦労を読み取る。

 「新型大国関係」とは対米関係にしか使わない、いや日中関係にも使える・・・。

 以前そんな議論を聞いたことがある。日中関係でも、米中新型大国関係のような新たな概念を模索しつつ、「小日本」に「大国関係」など使うべきではないとの声に配慮したのか。恐らく内部ではそれなりの議論があったのだろう。

 以上はあくまで筆者の推測だが、もし、これが当たらずといえども遠からずであれば、中国の知識人もそれなりに苦労して知恵を出しているのだなと思う。

 今回のシンポポジウム(論壇)は比較的小規模だったが、壇上に大人数が並ぶ中国式論壇は正直もうウンザリだったので、今回は結構楽しめた。

中国政府の定番対日批判を繰り返す人としない人

 というわけで、今回は参加者すべての発言内容をつぶさに聞いた。筆者にしては珍しいことだ。発言者を特定する書きぶりはルール違反なので実名は出さないが、こうやってよく聞いてみると、中国側の発言者は一見大まかに、しかし実は厳密に、2つのグループに大別できるらしいことが今回よく分かった。

 第1のグループはサラリーマン研究者だ。研究はそれなりにやっているが、日中関係シンポジウムなどという「危険極まりない」集まりにはあまり出たくない。

 変なことを喋って誤解でもされたら、どんな運命が自分に振りかかるか分からない。特に、最近は東洋学園大学某教授の例もあることだし・・・。