マット安川 ゲストに元法相・田中慶秋さんを迎え、現政権の経済対策やアベノミクス効果の世間的評価とはかけ離れた中小企業の実態についてお聞きしました。

アベノミクスは幻想、実態とかけ離れている

田中 慶秋(たなか・けいしゅう)氏
前衆議院議員、民主党・神奈川県第5区総支部代表。スポーツ全般・盆栽・釣り・料理など多彩な趣味を持ち、柔道は五段の腕前(撮影:前田せいめい、以下同)

田中 いま「アベノミクス」とかいろいろ言われていますが、世の中の実態とは合っていないと感じています。

 アベノミクスはマスコミが作り上げたものです。景気はよくなっていません。だって給料は上がらないんだから。それなのに物価は上がっている。本当に厳しい状況です。一部の大企業はいいんだろうけど、実態はぜんぜん違う。

 中小零細企業はいま非常に厳しい環境に追い込まれています。仕事は10年前の10分の1になっているんです。大企業は海外に出ていっているが、中小零細企業は出ていけない。

 仕事は減ったけれど、当時の設備投資も含めて借金は減らない。借金をどうやって返済するか。自分の会社を倒産させるか。自分の命と交換するかというくらい真剣に考えています。私は毎日、銀行に行って交渉したり、いろんな保証協会の方たちと話し合ったりしています。

 そんな中で、政府は変なことを次から次に言い出しています。「限定正社員」だとか「雇用特区」をつくるとか、思いつきでやっている。政策はいくら理想的なことを言ったって、現場と離れていてはしょうがない。私は、国民の目線と、国民の声というものを大切にしなければいけないと思っています。

 そういう現場の苦労について、例えば、いままで高級官僚だった人、お医者さん、弁護士さんも分からない。こういう人たちが頭は優秀ですから、頭だけで考えて、それで政治をやるというのは間違いです。政治は生き物です。現場主義でいかないといけないと思います。