(英エコノミスト誌 2013年10月12日号)

ジャネット・イエレン氏は前任者の拡張的な政策を踏襲するだろう。

米次期FRB議長にイエレン氏を指名、オバマ大統領

米連邦準備理事会(FRB)次期議長への指名発表後にスピーチするジャネット・イエレンFRB副議長(右)と、耳を傾けるバラク・オバマ大統領〔AFPBB News

 過去数年間というもの、大半の期間を通じて、機能不全の財政政策が経済を抑制する一方で、金融政策が経済が回るよう促してきた。

 来年2月にベン・バーナンキ氏の後を継ぐ米連邦準備理事会(FRB)の次期議長にジャネット・イエレン氏を指名したバラク・オバマ大統領の決断は、景気刺激的な金融政策が続く確率を高める。だが、そのスタンスに対する懸念が高まっている。

 イエレン氏は、FRBを率いる最初の女性議長であることに加えて、広く認められた最初のハト派議長でもある。かつて米国の大統領たちは、政治体制が持つインフレバイアスにFRBが屈しないという安心感を市場に与えるために、ポール・ボルカー氏やアラン・グリーンスパン氏のような金融政策のタカ派を指名しなければならないと感じた。

 オバマ大統領は、イエレン氏を指名するにあたり、世界が、そしてFRBの優先事項がいかに大きく変化したかを暗に認めていた。他の多くの国と同様、米国も2008年以降、需要の不振と高い失業率に苦しんできたからだ。一方、エネルギー価格を除くと、インフレ率は一貫して2%というFRBの目標を下回ってきた。

「失業はインフレ以上に大きな問題」

 失業はインフレ以上に大きな問題だと考えているのはイエレン氏だけではない。FRBが金利を決定する連邦公開市場委員会(FOMC)のメンバーの多くもそう思っている。だが、イエレン氏は、同僚たちよりも長い間、もっと強くそう感じてきた。

 イエレン氏は昨年、たとえそれがインフレ率を一時的に2%を超える水準に押し上げたとしても、失業率の低下を早めるために、FRBが当時計画していたよりも長く金利をゼロ近辺に維持するよう公然と圧力をかけた。同氏は、完全雇用と低インフレという2つの法令上の目的を等しく重視することを強調した、長期目標と運営方針に関するFRBの現在の声明文の主な執筆者だった。

 イエレン氏は副議長として、バーナンキ議長に手を貸して、少なくとも失業率が6.5%に下がるまでは政策金利をゼロに維持し(2008年末から続く水準)、労働市場が大幅に改善するまで増刷した紙幣で月間850億ドル相当の債券を購入し続ける(量的緩和=QE)という公約の方向にFMOCを動かした。

 これらの政策は、タカ派が心配したようにインフレを昂進させることはなかった。実際、イエレン氏はインフレ圧力のせいで金融政策を引き締めざるを得なくなることを歓迎するだろう。それは需要が旺盛であることを意味するからだ。

 だが、タカ派は今でも、FRBが金融市場で価格を歪め、行き過ぎたリスクテークを生み出し、国債の投資家が財政規律を要求するのを阻止しているのではないかと懸念している。