(英エコノミスト誌 2013年10月12日号)

無用の大惨事を避けるための時間が尽きようとしている。

米債務上限問題、与野党の上院院内総務が初の直接協議

10月11日、ホワイトハウスで協議するハリー・リード上院院内総務(右)とバラク・オバマ大統領〔AFPBB News

 「我々が米国の債務上限の引き上げについて議論するために今ここにいるという事実こそが、政府首脳の失敗のしるしだ」。2006年、イリノイ州選出の若き上院議員だったバラク・オバマ氏はこう述べた。

 そして、増大する米国の債務は「隠れた内なる敵」であり、都市から投資を、子供たちから学校を、老人から年金を奪うものであるから、自分は債務上限(政府が借り入れできる金額の法的上限)の引き上げに反対票を投じるつもりだと説明した。

 2013年のバラク・オバマ大統領の見解は、それとは異なる。現在大統領は、債務上限を引き上げないと破滅的なデフォルト(債務不履行)の危険がある以上、それは無責任だと主張している。米国は、1790年に借り入れという方法を発見して以来、債務の支払いができずにデフォルトに陥ったことはない。恐らく今回もそれは回避されるだろう。しかし、大統領が警戒するのは間違っていない。

デフォルト回避に向けたせめぎ合い

 連邦政府機関の一部閉鎖が続く中、1つの危機を収束させようとする試みは棚上げされ、もう1つの、より深刻な危機が迫る。10月17日前後には、財務省が資金をやり繰りして債務の支払いを続ける余裕もなくなってしまう。それを過ぎた時点で、米国政府は契約業者や年金受給者などへの支払いを延期して、国債のデフォルトを回避することができるかもしれないし、できないかもしれない。

 財務省は、同省のコンピューターシステムは、このように支払いに優先順位をつけることはできないと述べている。国民が健康保険を購入するできる政府ウェブサイトの運営が難航していることを考えると、これは真実だと思われる。

 いずれにせよ、ピッツバーグの年金受給者よりも北京の米国債保有者に先に支払うというのは、国民の支持が得られないことはもちろん、法的に認められないかもしれない。そのような点についてまで議論がなされているということ自体が、懸念材料だ。

 10月10日、下院の共和党幹部はオバマ大統領との会談に先立って、債務上限を6週間「無条件」で引き上げる提案を行うと述べた。ただし、この案では、財務省は6週間の経過後に政府機関の各口座の資金をやり繰りしてさらに数カ月の猶予を得ることは許されない。

 債務上限という制度は、第1次世界大戦の資金調達をしやすくする方法の1つとして導入された。1917年以前は、新しい国債を発行するたびに議会で投票にかけられていたからだ。この制度の導入以来、民主党、共和党どちらの大統領の下でも、上限はたびたび引き上げられてきた。