(英エコノミスト誌 2013年10月5日号)

シルビオ・ベルルスコーニ氏は、エンリコ・レッタ政権を崩壊させるという脅しで情勢を大きく見誤った。

伊レッタ内閣信任、ベルルスコーニ氏翻意 党内造反で

長い政治生命も、もう終わりか・・・〔AFPBB News

 それは他の欧州諸国の人々に、めまいがするほど不安定なイタリアの政治への絶望感を抱かせるような光景だった。

 10月2日、エンリコ・レッタ首相率いる左派・右派の連立政権は、議会の信任投票に直面した。その結果次第では、政権が倒れ、今なお戦後最長の景気後退にどっぷり浸かったイタリアが解散総選挙に追い込まれ、ともすれば来年度予算が危うくなる恐れがあった。

 レッタ首相は連立政権の過半数が最も当てにならない上院(元老院)で、信任投票での敗北は、待ち望まれるイタリアの回復を妨げる「致命的なリスク」を伴うと述べた。

党内の造反に直面して翻意

 保守派の指導者であるシルビオ・ベルルスコーニ氏は、自身の率いる自由国民は上院でレッタ氏に不信任票を投じると述べた。ところが、いざ自らの意思を表明しようと立ち上がった時には、自由国民は結局、レッタ氏を支持すると述べた。信任235票、不信任70票で、レッタ政権は生き延びた。

 通常、そうした議会の急展開は、戦術的な優位性を得るための意図的な努力を反映している。だが今回の場合は、決断を下せずに苦しむベルルスコーニ氏があがいた証拠のように見える。党内で相当数の議員の造反――自由国民の歴史上初めてのこと――に直面したベルルスコーニ氏は、党内分裂を覆い隠すために造反組と足並みを揃えざるを得なかったのだろう。

 ベルルスコーニ氏は脱税で有罪判決を受けた後、上院からの追放という目前に迫った自身の屈辱に抗議して、危機を引き起こした可能性もある。だが、結局はそれ以上に大きな屈辱を味わう羽目になった。

 危機が勃発したのは9月28日、何カ月も政府に忠誠を誓ってきたメディア王が、自由国民所属の閣僚5人に辞任するよう命じた時のことだ。これはどう見ても、恥知らずで無責任な行為だった。

 ベルルスコーニ氏は、閣僚の辞任は政府が付加価値税(VAT)の1%増税を承認したことに対する抗議だと主張した。もっと広く信じられている説明は、ベルルスコーニ元首相が、自分が最高裁で議会追放の法的根拠を争う間、敵対勢力が決定を先延ばしすることに同意することを期待した、というものだ。相手がゲームに乗ってこないことが分かると、同氏はゲームのボードをひっくり返すことにしたわけだ。