この原稿を深夜のワシントンで書いている。9月17日のダレス空港到着直前に当地の米海軍施設で銃乱射事件が起きたため、市内の国旗はすべて半旗だった。犯人は同施設に出入りする契約業者だったが、その男が秘密情報を扱う「セキュリティ・クリアランス」を有していたため、現地では大問題になっている。

米ワシントンの海軍施設で銃乱射、13人死亡 容疑者は元予備役

銃乱射事件が起きた米首都ワシントンD.C.の海軍施設周辺〔AFPBB News

 17日の日本出発から1週間、幸い今回の米国出張は日程に余裕があった。乱射後の状況もCNNなどでゆっくり見聞きできた。

 19日と20日の両日には、ワシントンの2つのシンクタンクで中国について話す機会も頂いた。この点については別途英語版コラムに書いたので、ここでは繰り返さない。

 筆者が気になったのは日本における対中秘密情報管理、特にセキュリティ・クリアランスのあり方だ。一方、日本在住の中国人学者・知識人が中国で行方不明と報じられて久しい。今回は最近日中関係者間で必ず話題になるものの、誰もが真正面から書くことを躊躇ってきたこの問題も併せて考えてみたい。

消えた?中国人学者

 最初にお断りしておくが、筆者は「中国当局の取調べを受けている」などと報じられた日本在住の中国人学者・ジャーナリストの行方について興味本位に書くつもりはない。彼らに関する情報は関連報道以外一切持ち合わせていないし、それに関する「秘密情報」を入手しようとも思わない。

 この問題に関する筆者のコメントは、以下の通り、珍しく(?)慎重である。

●仮に報道された「取調べ」なるものが事実だとしても、いかなる理由があるにせよ、彼らの人権は守られるべきであり、関連情報は可能な限り開示されるべきである。

●件の中国人学者の少なくとも1人は中国政府を擁護することで有名であり、そのような費用対効果の低い人物について、素人ならともかく、プロの日本諜報関係者が本格的に関与しているとは考えにくい。

●彼らのいかなる活動が問題視されたかは知る由もないが、これら中国人学者・ジャーナリストの個人的活動の一部が誤解されている可能性も否定できず、いずれにせよ慎重な対応が望まれる。

 ということに尽きるだろう。この問題が報じられてから1カ月以上経ち、ありとあらゆる噂話が筆者のところにすら聞こえてくるが、これらをいちいちご紹介するだけの確証は持ち合わせていない。もちろん、事実は小説より奇なり、という言葉もある。今はすべての可能性を考えておくしかないだろう。