バイオ燃料で世界から取り残され始めた日本

2010年に大きく舵を切った欧米諸国

2013.10.03(木) 藤原 秀樹
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再生可能エネルギーの種類と出力

 木材を燃やす場合は、蒸気、電気などのエネルギーが得られるのに対し、エタノールから得られるのは主としてガソリンの代替エネルギーである。

 それでも、それらのエネルギー源は、太陽光や風力よりは安定しているし、得られるエネルギーも太陽光・風力のように主として電気のみというわけではない。

 原子力については先進国と発展途上国での状況が異なるので後に改めて述べるが、石油に変わり得るエネルギーを考えるときには、ディーゼルや航空燃料そして化学製品の原料としてのバイオエネルギーを考える必要がある。そのためには、我が国の林業のあり方も含めた総合的戦略が必要となる。

 バイオエネルギーが真に石油の役目を担うためには、化学製品の原料となる必要がある。また、輸送目的に使用する場合もディーゼル燃料、飛行機用燃料を製造可能としなければならない。

 そうした背景から、これからは「バイオ燃料(Bio Fuel)」と呼ばせていただく。

 2010年の段階で、ヨーロッパではすでに多くの実証プロジェクトが立ち上がっていた。フォルクスワーゲンの木質材料をガス化のあと燃料を取り出すもの、ボルボの木材パルプ工程で出るリグニン(木に20~30%含まれる)をガス化してディーゼル燃料を得るものなど大規模なものだけでも7つほどある(日本には大規模なものは皆無)。

 それぞれが800万~1000万ユーロ(約10億~13億円)の補助金をEUから得ている。その後フィンランドの大手紙パルプ会社であるUPMキュンメネ社がラッペンランタ工場で設備を建設、2014年からバイオディーゼルを供給予定である。

 また同社は、フランスのストラスブール工場でもバイオディーゼルのプラントを立ち上げる予定であり、環境負荷の削減に役立つとしてEU当局から1億7000万ユーロ(約220億円)の補助金を得ている。これら技術の根本は「ガス化」である。

フォルクスワーゲンのパイロットプラント(PulPaper2010より)
ボルボのパイロットプラント(PulPaper2010より)
 

1920年代からあった木材のガス化技術

 さて、木質資源のガス化に使われる技術は、1925年にさかのぼるフィッシャー・トロプシュ法(Fisher-Tropsch Process)に行き着く。

 ドイツにあるマックス・プランク研究所の前身であるカイザーヴィルヘルム石炭研究所(Kaiser-Wilhelm Institut für Kohlenforschung)でフランツ・フィッシャー とハンス・トロプシュが開発したのでこう呼ばれる。

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藤原 秀樹 Hideki Fujiwara

 

カーボンニュートラル資源研究所 代表

慶応義塾大学工学部卒・同大学院修了後、十條製紙(現・日本製紙)入社。

米国・ウェスタンミシガン大学留学。工学博士。

日本製紙・取締役・研究開発本部長、関係会社役員を歴任。

TAPPIフェロー(米国紙パルプ技術協会名誉会員)、TAPPI 塗工部門技術賞 (アジア初)

東京大学大学院農学生命科学研究科・農学部・非常勤講師、タイ国アジア工科大学院・客員教授

米国紙パルプ技術協会・国際研究管理委員会 委員(副委員長)
マルクス・ヴァレンベリ賞(スウェーデン)選考委員会・アジア地区大使を経て、現在は選考委員会のシニアアドバイザー

エネルギー戦略

20世紀の社会を築き、支えてきた石油。しかし世界的な環境意識の高まりの中で、石油依存社会の限界が明らかになりつつある。石油はいまどうなっているのか。石油社会の次を築き、新世紀を切り開くイノベーションは何か。その最先端の姿をリポートする。

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