(英エコノミスト誌 2013年9月7日号)

米国の農業が欧州のそれと違う理由

「バイオ燃料による発展途上国の食糧価格上昇を懸念」FAO報告書

米国の農業は昔から欧州と異なる(写真はアイオワ州の農場の種まきの様子)〔AFPBB News

 米国の農村地域では、大人になって農家経営に携わるようになる前に、驚くほど多くの子供たちがロケットの作り方を教わる。

 農村の空は毎年、子供たちが作った小型ミサイルでいっぱいになる。最も大きなロケットは、高度計やパラシュート、それに何個もの卵を積んで数百フィート飛ぶ。

 野球場はアルファルファ畑と並んで人気の発射場だ。後者の畑は大抵大きく、アルファルファは他の農作物と比べると、かなり踏みつけても平気だ。こうしたロケットの手作りや発射は米国の農業について多くを説明してくれる。

農村地域に浸透する「4-H」クラブ

 何千発に上る農村のロケット打ち上げの背後には、ある青少年機関の存在がある。「4-H」クラブがそれだ(4-Hは頭文字で、head=頭、heart=心、hand=手、health=健康に関する誓いに由来している)。都会人の間では、4-Hはあまり知られていない。だが、その存在と歴史は、農業と食品に対する米国の独特な見方について多くを明らかにしてくれる。

 多くの人は、4-Hの名前を聞くと1つのイメージを思い浮かべる。田舎の品評会で一張羅のブルージーンズとカウボーイブーツを身に着け、厳かに家畜を引いて回る農家の子供の姿だ。確かにクラブ会員の多くは家畜を育て、品評会に出品する。州主催の品評会で、11歳の子供が4-Hの審査員の前を500キロもある雄牛を引いて歩く姿を見るのは、米国の夏の風物詩の1つだ。

 だが、4-Hは人格形成だけでなく、生物学や物理学などの自然科学の普及も目的として設立された。およそ200万人の子供が4-Hのクラブ活動やキャンプに参加しており、さらに数百万人の子供が学校で4-Hプログラムに沿って学んでいる。

 今では、教室に卵の孵化器を置き、8歳の子供が「チキンがマクドナルドから届くのではない」ことを学ぶようにするプログラムなどで、より多くの都会っ子に普及を図る大規模な取り組みも始まっている。

 ネブラスカのような農業州では、子供の3人に1人が4-Hに加入している。4-Hのクラブやキャンプは、政府と公立大学のパートナーシップの青年組織を形成している。この組織の起源は南北戦争にさかのぼり、合衆国のすべての郡に新技術を伝えるために設立され、連邦政府の所有地の贈与で資金が賄われている。

 最近、ネブラスカ州の品評会を訪れた本コラム記者は、4-Hプロジェクトのパビリオンを見て回った。一部の出品物は多くの国の品評会でも見られるものかもしれない。瓶詰めのジャムや賞を取った野菜や工芸品などだ(筆者は正直言って、リスに餌をやる風防ガラス張りの迷路などを期待していた)。