去年の12月に、アメリカにおける市民参加というテーマで月2回の連載を始めてから9カ月が経ちました。

 11年間民間企業で環境、CSRといった分野で働き、市民参加という今までと違う分野を盛り上げたいと思い留学をしたのが2011年の夏のこと。アメリカのハーバード・ケネディ・スクールで1年間学び、2012年の夏から市民参加を支える米国のNPOにて働いてきました。

 そして今、ニューヨークから日本に戻る飛行機の中にいます。これからは日本で、市民の力で社会を変えていくことに携わっていきたいと思っています。

 何でそんなに市民参加だの市民の力で社会を変えるだのと言っているのか。自分が今まで培ってきたキャリアを投げ打つわけではないけれど、なぜ平坦とは言い難い道を選んでいるのか。

 私自身もすごく不思議ですが、この火はなかなか消えません。私の中の大きな思いは、日本人が自信を持ち、自ら行動する人が増えることで、世界に大きな価値をもたらせるのではないかということです。

日本人の知恵と美徳は、世界が大きな問題に直面するときに役立つ

 私たち日本人は世界でも珍しい価値を持っています。それは今薄れつつあるのかもしれません。

ハーバード・ケネディ・スクールの卒業式にて(右から2番目が筆者、写真は筆者提供)

 でも、使っていない部屋にまでエアコンや暖房をがんがんつけ、使い捨ての物資を山のように使い、ゴミの分別もままならない、何をするのでもお金がすべてのアメリカで暮らすうちに、まだ私たちはその価値を持っているのではと感じました。

 ものを大切に長く使い、無駄使いをしない、人と分かち合う、お金だけに頼らず身の回りのちょっとしたことで幸福を感じる。