(英エコノミスト誌 2013年8月31日号)

欧米諸国との関係が冷え込むなか、ウラジーミル・プーチン大統領は中国に目を向けている。

プーチン露首相、米大統領と初会談 「オバマ氏に期待」

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領(右)と米国のバラク・オバマ大統領〔AFPBB News

 9月初旬にサンクトペテルブルクで行われる主要20カ国・地域(G20)首脳会議でロシアのウラジーミル・プーチン大統領がホストとしてバラク・オバマ米大統領をはじめとする各国首脳を迎える時、お互いに抱く恨みと嫌悪は隠し切れないだろう。

 オバマ氏は最近、プーチン氏のボディーランゲージを「教室の後ろで退屈している子供」になぞらえた。また、モスクワで予定されていた2国間の首脳会談をキャンセルし、代わりにスウェーデンを訪問することにした。

完全に死んだ米ロ関係の「リセット」

 とどめになったのは、逃亡した米諜報機関職員のエドワード・スノーデン氏をロシアがかくまったことだ。だが、この一件を巡る論争は、プーチン氏がクレムリンに復帰した2012年以降明らかだったものを一層はっきりさせただけだ。すなわち、2009年に鳴り物入りで打ち出された米ロ関係の「リセット」は瀕死の状態であるどころか、死んでしまったということだ。

 シンクタンク、カーネギー財団モスクワセンターのドミトリー・トレーニン所長は、首脳会談の中止はミハイル・ゴルバチョフ氏の全盛期に始まった25年のサイクルの終わりを告げたと言う。

 共通の目標と価値観の前提はもう崩れた。ロシアは西側に近づいている素振りも見せない。西側からの批判に対しては、苛立ちながらロシア国内の事情への理解と忍耐を求める代わりに、批判をただ無視している。

 2008年にロシアとグルジアの戦争が起きた時にも米ロ関係の危機があった。しかしオバマ氏は、4年間プーチン氏に代わって大統領を務めたドミトリー・メドベージェフ氏と真剣に向き合い、関係を復活させた。多くの人はいまだに、メドベージェフ氏の愛想の良さが誠実なものだったのか、パフォーマンスだったのか論議している。

 リビアを巡り、関係の冷え込みが悪影響をもたらし始めた。ロシアは市民の命を守るための国連決議を支持したが、これが軍事介入によるムアンマル・カダフィ氏の政権転覆をもたらすと、騙されたと感じた。

 「中世的どころか原始的でさえあるカダフィ惨殺」のイメージはプーチン氏の脳裏から離れなかった。プーチン氏は2012年に「リビアのシナリオをシリアに適用することは誰にも許されない」と書いている。